ペタペタ貼ってると→
もっと好きになるんですよ。
これ ほんとやってみたらいいと思いますよ。
ほんと 好き好き…。
放課後 井本は生徒と一緒に帰路についていた。
帰宅するのかと思いきや
電車で1時間かけて向かったのは→
都心にあるビル。
実は井本は この春27年勤めた学校を非常勤になり→
授業数を減らす決断をした。
その分 学校以外に教室を持ち→
進学校だけでない
さまざまな生徒のために→
週3回 授業を行っている。
(取材者)斬新すぎる…。
生徒は主に中学生。
5クラス およそ60人。
井本の授業を受けたいという
生徒だけでなく→
学校になじめないという子も通ってくる。
授業が始まった。
紙を折り さいころのような
立方体を作るという問題。
井本は 普通にやっても
解けないような問題を出した。
すると 生徒の一人が
変わった方法で解いた。
紙を破って作るという
少し ずるいやり方だ。
だが 井本はこれを認める。
学校では だめとされがちなずるや脱線を 喜ぶ。
切れ目を入れても可です。
こうあるべきという社会が決めた評価や価値観。
それにとらわれず
今 目の前にいる子だけを見つめると→
井本は決めている。
こういう力が必要だっていうところを目的に置いて→
あの 教育… 目標に置いてするのが
教育だとすれば→
子どもは見えなくなるんですよ。
だって 見てるのはこうなった方がいいってとこだから。
それを見て この子見てたら→
これが 足りてるか 足りてないかっていう視点でしか見れないんですよね。
その子自身は見えない。
例えば将来 未来の社会っていうのは→
社会というのが先にあるんじゃなくて
彼らが将来ね→
彼らが暮らしている それが
彼ら自身が社会じゃないですか。
社会がこうだから 彼らをって
めっちゃ あべこべですよね。
もう息苦しくないですか? それ。
変ですよね。
だから… 社会なんて
見なくていいと思います。
社会は彼らがつくるものであって→
こちらが先に規定するものじゃないし。
そんな感じがするんですよね。
この日 井本さんが向かったのは児童養護施設。
ああ どうも…。
親と離れて暮らす子どもたちがおよそ40人→
共同生活を送っている。
井本さんは 22年前から月に2回 ここに通い→
夕食後 勉強を見てきた。
今は 教え子の中高生が手伝ってくれるようになり→
少し手持ち無沙汰。
そのかわり 時間いっぱい子どもたちに触れて回る。
両親のことを覚えていないという子も
少なくない。
でも 子どもたちは どこ吹く風。
世間のつまらぬ先入観など軽やかに飛び越え 育ってゆく。
えっ そうだったの? そうだったの…?
あ もう好きじゃない?
(取材者)じゃあ6年間?
6年間ですね。
ほんと そう思うんだもん…。
井本さんは いつも「ありのままでいい」と口にする。
(井本)じゃあね バイバイ。
(取材者)バイバーイ!
それは 後悔の中で
子どもたちから教えてもらった信念。
井本さんの原点は 体に障害のある兄の姿。
生まれつき足が不自由で歩くのが困難だった。
周りからは いつも
「大変だね」と声をかけられた。
でも兄は 明るかった。
それは 母 瑞子さんがいたから。
周りの声は意に介さず あるがままの姿を
それでいいと認めてくれた。
その中で 世間の価値観は
絶対ではないという考えが育っていった。
だから そこら辺の こう…
東京大学工学部を卒業すると母校で数学教師の道へ。
中学生の頃には
将来 教師になると決めていた。
やりたいことも決まっていた。
「正解」を教えるのではなく自分で考えさせる授業。
1年目から教科書は使わず
オリジナルの問題を作った。
「こうあるべき」という決まった評価や