ありがとうございます。
よし 下 行こうか。
じゃあね アイちゃん。 行くよ。
「令和家族」。
新たな幸せのカタチを探す人たち。
今増えているのが 高齢の単身世帯→
いわゆる“おひとりさま”です。
配偶者と死別した65歳以上の人は
年々増加し864万人。
おひとりさまを
どう生きていけばいいのか。
悩みを抱える人は少なくありません。
元プロ野球監督 野村克也さんです。
84歳になりました。
(取材者)お庭は… 沙知代さんがあれですか 置物とか…。→
カエルとかは 沙知代さんが…。
大きな…。
野村さんは 2年前 50年近く連れ添った→
妻 沙知代さんを亡くしました。
妻と一緒に過ごした家に
今も 一人で暮らしています。
監督として
3度の日本一を成し遂げた野村さん。
選手の心の機微を読み取る観察眼と→
相手の弱点をつく戦術で一時代を築きました。
沙知代さんは 3歳年上の姉さん女房。
家のことから仕事のスケジュール管理まで→
全て頼っていました。
回して。
あなた 一人でできないんですか?
こういう… お仕事。
あなたね…
(笑い声)
別れは あまりにも突然でした。
沙知代さんは 自宅で心不全を起こし→
意識が戻ることなく
そのまま亡くなりました。
私たちは 野村さんが少しでも
前を向くことができればと考え→
ある人に会ってもらうことにしました。
(取材者)すいません。 失礼いたします。→
今日も よろしくお願いします。
今日 一人か。(取材者)今日 一人で…。
(取材者)そんなこと言わないで下さい。
その人は 豪華客船の旅を謳歌していました。
94歳になった 脚本家の橋田壽賀子さん。
よくいらっしゃいました。 遠いとこまで。
おひとりさま歴は 実に30年です。
(橋田)上から撮るときれい… やあ~。
最高視聴率62%の「おしん」など→
数々のヒット作を世に送り出してきました。
橋田さんは 64歳の時→
元テレビプロデューサーの夫岩崎嘉一さんを→
がんで亡くしています。
脚本家の仕事を深く理解し支え続けてくれた人でした。
夫の死後も変わらず
創作に まい進してきた橋田さん。
野村さんに前を向くための
言葉をかけてほしいという→
私たちの提案に共鳴してくれました。
いらっしゃいませ~。
対話の場所に選んだのは→
亡き沙知代さんとよく通ったという店です。
いらっしゃいませ。
はじめまして。
ああ そうですか。
一生 もう着ないでおこうと思って。
そうです。
そのせいかなとは思うんですけど…
(橋田)あっ そうですか。
何年 泣いてるかですね。
まだまだ 涙が絶える…。
対話は このあと 思わぬ方向に進みます。
(橋田)ああ そうですか。
奥様いらっしゃるから しっかりなさいって 肩たたいてあげたい。→
奥様が「大丈夫」って おっしゃってるから
しっかりなさいって。
すいません。
いえいえ。
ありがとうございます。
(橋田)ありがとうございました。
本当に 何か 一人でしゃべって 申し訳…。
一生懸命 場もたせしなきゃいけないと思って しゃべりました。
お待ちしてま~す。
(取材者)ありがとうございました。
大パパ お疲れさまでした。
うい。
帰りの車の中 野村さんは初めて
本音らしき言葉を漏らしました。
今の野村さんには どんな言葉が響くのか。
私たちは 今後も 橋田さんとの対話を続けてほしいと伝え 別れました。
(取材者)
野村さん ありがとうございました。
はい。
野村さんと会う前 現役時代のような姿を思い描いていた橋田さん。
2年たった今も ここまで悲しみが
生々しいままだとは→
思っていませんでした。
(取材者)本を読み込んできたんです…。
30年前 橋田さん自身は→