2020/01/12(日) 21:00〜21:50 NHKスペシャル 食の起源(3)▽『脂』〜発見!人類を救う“命のアブラ”〜[字]
狩りについていってみると…。
あっ あれは?
アザラシ。そう アザラシ。
皮を剥ぐと ピンク色の分厚い皮下脂肪が
現れました。
きれいだね。
きれいだわ。
全身を覆う この大量のアブラが→
イヌイットの人たちにとって何よりのごちそうです。
こちらは イヌイットの大好物…
干したトナカイの肉に→
溶かしたクジラのアブラを
たっぷりつけて食べるのが→
イヌイット流です。
ちょっと食べてみたいな これ。
彼らの伝統的な食生活は
とにかく アブラがたっぷり。
なんと 摂取カロリーの7割が
アブラなんです。7割?
普通 そんなにアブラをとったら
血液はドロドロ→
心臓病や動脈硬化も招いてしまいます。
絶対 太るでしょ。
でも イヌイットの人たちは
至って健康なのです。
でも そんな太ってないよね。
ねえ。
いいアブラなんじゃない? やっぱ。
一体 なぜなのか?
その謎を解明して
世界を驚かせた研究者がいます。
生理学者のヨーン・ダイヤベルグ博士です。
イヌイットが食べているアブラの成分を徹底的に調べ→
ついに 彼らの健康の鍵を握る
すごいアブラを見つけました。
それこそが オメガ兄弟の兄→
オメガ3脂肪酸です。
へえ~。
なんと…
このオメガ3脂肪酸 最近の研究で→
ただ者ではないことが明らかになってきました。
実は 私たちの全身の細胞は
アブラの膜で覆われています。
オメガ3脂肪酸は
その大事な細胞膜の材料となる→
特別なアブラの一つなんです。
重要なのが オメガ3脂肪酸が→
こんな曲がった形をしていること。
そもそも 細胞膜は拡大すると→
まっすぐな棒状の物質がくっつき合って
膜を形づくっています。
ここに
曲がったオメガ3脂肪酸が入り込むと→
くっつき合う部分が少なくなります。
すると 摩擦が減って動きやすくなり→
細胞膜が 柔軟に変形しやすくなるのです。
ほう なるほど。
実は 私たちの健康にとって
この細胞膜の柔軟性が とっても大事。
例えば
血液を全身に届ける血管の壁の細胞。
オメガ3脂肪酸が多いと
しなやかに伸縮でき→
血流がよくなります。
アブラが柔らかくしてくれんだ。
更に その中を流れる赤血球も
通常は円盤のような形をしていますが…。
細い血管を通る際は→
オメガ3のおかげで柔らかく折れ曲がることができ→
血液の流れが サラサラに。
オメガ3脂肪酸をたっぷり とっていると→
全身の細胞がしなやかになり→
血液循環が 健やかに保たれます。
そのため 動脈硬化や心臓病などに
なりにくいと考えられるのです。
新しい命のもと
精子の細胞膜にも→
オメガ3脂肪酸が
たくさん含まれています。
これが不足すると
膜が硬くなって 形が崩れ→
正常に受精できなくなってしまいます。
それは大事だね。
更に 私たちの脳。
その断面 黄緑色で示された場所に→
オメガ3脂肪酸が
密集しています。
知性など 高度な脳機能に
関わる部分です。
へえ~ そうなんだ。
そこでは 神経細胞がつながり合って情報をやり取りしています。
オメガ3脂肪酸のおかげで 神経細胞は
柔軟に形を変えることができ→
高度な情報ネットワークを生み出せると
考えられています。
まさに 私たちの体を
細胞レベルで健やかに保つ 命のアブラ→
それが オメガ3脂肪酸なのです。
すごいな これは。
それこそ ナッツとかにも オメガ3が