この後 東アジアで2つのルートに分かれます。
そして 東アジアと世界の歴史を
大きく変えていくことになります。
世界最大の建造物 万里の長城。
この壁を隔てた2つの国が世界史上まれに見る長い期間→
壮絶な戦いを繰り広げた。
北の匈奴と 南の漢。
紀元前3世紀から続いた
この争いの中で→
鉄は スキタイの時代とは
次元の異なる進化を遂げていく。
見渡す限りの大草原。
ここが匈奴の治めた大地だ。
今 ここに暮らすのは
遊牧生活を送る人々。
馬を乗りこなして 初めて一人前。
彼らは 匈奴の末えいといわれている。
今 この大草原にある 匈奴の遺跡から→
進化を重ねた鉄の武器が見つかっている。
その一つが「鉄の矢じり」だ。
その威力は どれほどか?
匈奴の「鉄の矢じり」を復元した。
当時のよろいと同じ厚さの銅板をたやすく貫き…。
羊の肉を えぐり取った。
その破壊力の源は矢じりの先に秘められていた。
一方 建国 間もない漢の矢じりは→
その多くが 小さな青銅製だった。
匈奴が開発した鉄の矢じりは
遠く離れた敵を一撃でしとめられる→
恐るべき最新兵器だった。
匈奴と漢は 土地や農作物を巡って激しい衝突を繰り返していた。
時は 紀元前200年。
両国の間に大規模な戦争が勃発する。
漢を率いるのは 初代皇帝 劉邦。
対するは 国王の「冒頓」に率いられた匈奴。
最新兵器の鉄の矢じりで襲いかかる。
♪♪~
匈奴は 漢に圧勝。
毎年 漢の皇帝から大量の貢ぎ物を贈らせるという→
屈辱的な約束をさせた。
匈奴は その後も 圧倒的な軍事力で漢を脅かし続けた。
匈奴の強さを支えた鉄。
それは アイアンロードによってもたらされていたことが→
最新の調査で分かってきた。
見つかったのは ある特徴を持つ製鉄炉。
地下に穴を掘って製鉄を行う→
「地下式炉」と呼ばれるもの。
この発見によって アイアンロードが→
スキタイから 匈奴へと伝わっていたことが→
初めて明らかになったのだ。
更に去年 驚くべき事実が明らかになった。
草原の中から見つかった
巨大な「王の宮殿」。
♪♪~
その近くから 鉄の武器を作り出す→
大規模な「軍需工場」が姿を現したのだ。
この場所から12基もの製鉄炉がまとまって出土した。
大量の最新兵器が
王の直轄工場で作られ→
常に臨戦態勢をとり続ける。
匈奴は 世界に類のない「鉄の軍事国家」だったのだ。
一方 匈奴に圧倒され続けてきた漢。
最先端の武器を生み出すため→
鉄のイノベーションに挑んでいた。
その痕跡が見つかった場所がある。
「鉄牛」と名付けられた村。
この村の人々が祈りを欠かさないものがある。
この塊の正体は「鉄」。
重さ2t。
漢の時代に作り出されたものだという。
実は 漢には 匈奴より早く西から製鉄技術が伝わっていた。
そして 独自の鉄づくりが行われていた。
「アイアンロード」を研究する村上恭通さん。
鉄牛村のそばで 漢の時代に使われていた
巨大な製鉄炉を見つけた。
復元すると
高さ4mにも達する高炉だと分かった。
この炉では
大量の鉄を一度に作ることができる。
しかし
そこには 大きな弱点があった。
高炉でできる鉄は もろいため
武器には適していなかったのだ。
漢の人々は 「強い鉄」を手に入れるため
この弱点を克服していく。
これが 漢に
鉄のイノベーションをもたらした。
地面に直径80cmほどの穴を掘り→
フタをかぶせるだけの単純なもの。
当時の鉄づくりを再現し
炒鋼炉の秘密を探った。
高炉で作られる鉄が
もろいのは→
不純物である炭素を
多く含んでいるためだ。
このもろい鉄を炒鋼炉に投入し
1,200度前後の高温で加熱し続ける。
この時 炒鋼炉には
大量の空気が送り込まれる。
すると 炉の中で