ユーラシア大陸の奥深く。
シルクロードより古い「文明の道」が
姿を現し始めている。
容易に人を寄せつけない 険しい山岳地帯。
人影もない辺境の地。
今 こうした場所で 古代史の常識を覆す
大発見が相次いでいる。
山奥から見つかった
紀元前5世紀のミイラ。
緻密な細工が施された
黄金製品。
膨大な数の 王の墓。
ユーラシアの僻地に独自の古代文明が花開いていたことが→
明らかになったのだ。
新たな発見を可能にした「宇宙考古学」と呼ばれる最新の解析技術。
人工衛星が撮影した写真を使い
地中に眠っていた遺跡を探り当てた。
遺跡からは 独自の文明を生み出した
ある金属が 次々と見つかっている。
それは 「鉄」だ。
この鉄が 辺境の地に 人類史を変える数々の革命を起こしていたのだ。
そして 見つかった遺跡を結んでいくと→
ユーラシアを貫く 道らしきものが浮かび上がってきた。
私たちは この道を
アイアンロードと名付けました。
地球に眠っていた古代の道
「アイアンロード」。
そこに秘められた
壮大な人類の物語をたどる。
皆さんは 「古代文明」というと
どんな国々をイメージしますか?
ナイル川流域の肥沃な大地に栄えた
「エジプト」でしょうか。
地中海に広大な海洋国家を築いた
「ギリシャ」でしょうか。
確かに
こうした古代史の主役とされる国々は→
豊かな文明を築きました。
ところが今 意外な場所で繁栄していた→
謎の国々の実態が
明らかになってきました。
その繁栄をもたらした秘密は こちら。
「鉄」です。
古代 金よりも
貴重な時代があったという 鉄。
この鉄がたどった道こそ→
今日の舞台 「アイアンロード」です。
果たして この道に どんな物語が→
秘められているのでしょうか?
(祈りの声)
響き渡る 祈りの声。
ロシア モンゴル 中国 カザフスタン。
4つの国の国境が交わるユーラシア中央部の「アルタイ地域」。
この地に暮らす
アジアの少数民族 トゥバ人。
遊牧生活を送っている。
「オボー」と呼ばれる石積みの前に集まり→
大地への感謝と暮らしの無事を願う。
♪♪~
彼らが「聖地」として崇めるのが…
6年前 この山で大きな発見があった。
紀元前5世紀に造られた
巨大な墓から→
男性の「ミイラ」が
見つかったのだ。
更に 驚くべきことがあった。
現在 この地に多く暮らすのはアジア系の黒髪の人々。
しかし ミイラの髪は 「金髪」だったのだ。
聖なる山に丁重に埋葬されていたことから→
男性は 王族の一人と結論づけられた。
近くの谷からは 巨大な古墳が50以上見つかった。
最大 直径103m。
王族のものと考えられている。
研究者たちは
ここを「王家の谷」と名付けた。
ミイラの男性が生きていた頃。
それは 古代ギリシャとペルシャが繁栄をおう歌した時代だった。
そこから遠く離れたアルタイ地域は→
文明から取り残された未開の地と考えられてきた。
しかし それを覆す痕跡が
見つかり始めている。
金で作られた 工芸品の数々。
この髪飾りの先には繊細なヘラジカの彫刻が施されていた。
ネックレスには 僅か3mmの猪が
134個も飾られていた。
同時代の世界に類を見ない
緻密な細工だった。
アルタイ地域に暮らした 謎の人々。
一体 何者なのか?
それを読み解く手がかりが見つかった。
王の墓から出土した 鉄の短剣。
中央部に ハート形のような
独創的なデザインがあった。
実は これと同じものが
別の場所からも見つかっていた。
アルタイ地域から 西に4,000km。
ウクライナの大平原にある古代遺跡「ビルスクヒルフォート」。
ここで発見された 鉄の短剣。
アルタイ地域のものと同じ30cmほどの長さ。
そして 中央部に あのハート形の