水面へと押し上げられます。
そこに熱帯の太陽の光が注ぎ
光合成を行う植物プランクトンが大発生。
豊富なプランクトンを求め イワシが。
更に そのイワシを追って大型の魚が集まります。
地殻変動によって生まれた地形と
海流の偶然の出会い。
それが ユカタン海峡に ほかにはない
不思議な生態系を生み出していたのです。
<壮大な命のドラマが繰り広げられる
ユカタン海峡>
<夏になると そのスケールが一段と増す>
<大きな黒い影が一列に連なっている。→
世界最大のエイ マンタだ。→
大きいものは幅5メートルにもなる>
<マンタの主食も やはりプランクトン>
<豊富な食べ物を求めあちこちから集まってきたのだ>
<突然 回転を始めた>
<これは 効率よく食べるための行動>
<プランクトンが たくさんいる場所で→
そこにとどまって集中的に食べているのだ>
<マンタが向かった先。→
更に大きな生き物が現れた。→
ジンベエザメだ>
<しかも ふだん 単独生活しているはずが3匹 固まって泳いでいる>
<近くで
奇妙な行動をするものを見つけた>
<頭を水面に向け
1か所にとどまっている>
<水を豪快に吸い込んでいる>
<水面に漂う食べ物を効率よく捕らえようとする独特の行動だ>
<プランクトンを食べる海の巨人
ジンベエザメ。→
その進化には 地球を揺るがした
大異変が関わっているという>
ジンベエザメが大集結するユカタン海峡。
そこは 巨大ザメ誕生のきっかけを作った現場でもあります。
それは
地球の運命を変えるほどの大事件でした。
その真相を
森に点在するセノーテが教えてくれます。
セノーテの分布を宇宙から見ると→
半島の北部に空白となっている場所があります。
その輪郭をつなぐと
巨大な円が見えてきます。
直径170キロにもなる
巨大クレーターの痕跡です。
今から およそ6,600万年前→
地球上の生命を脅かす出来事が起きました。
巨大隕石が衝突したのです。
衝突により舞い上がった粉じんは長期にわたり 太陽の光を遮り→
植物を衰退させ
食物連鎖の崩壊をもたらしました。
その影響で
当時 君臨していた恐竜をはじめ→
地上の生物の50%が絶滅したと
いわれています。
地球を襲った大異変。
意外なことに それがジンベエザメを誕生させることとなります。
衝突当時 まだ地球には
ジンベエザメは存在していませんでした。
海には サメとは全く関係のない
巨大な魚が勢力を誇っていました。
リードシクティスと呼ばれる→
体長17メートルを超える地球史上最大の魚です。
プランクトンが主食で 食べ物が豊かな
古代の海を泳ぎ回っていました。
そのころ
ジンベエザメの祖先と考えられている→
テンジクザメの仲間は
まだ 海底の小さな住人でした。
しかし リードシクティスの天下は
隕石の衝突で終わりを迎えます。
衝突により 海の食物連鎖も崩壊し
プランクトンは激減。
リードシクティスは
巨大な体を支える食べ物がなくなり→
絶滅したのです。
長い年月のあと太陽が再び地上を照らし始めます。
プランクトンも
次第に海に戻ってきました。
小さな体が幸いし 大絶滅を生き延びた
ジンベエザメの祖先。
その中に 大量にあるプランクトンを
食べるものが現れます。
有り余る食べ物を得たことで体は巨大化し
地球で最も大きな魚となりました。
ユカタン半島で起きた
地球史上最悪とも言える出来事。
それがジンベエザメの
進化と繁栄をもたらしたのです。
<巨大隕石衝突という
地球激動の歴史を伝える→
ユカタン半島のセノーテ>
<奥深くには もう一つ 生命の不思議を感じさせる驚きの世界がある。→
水深40メートル。→
水が濁っている。→
猛毒の硫化水素だ。→
その層を抜けると 奇妙な光景が現れた>
<ヘルズベル