はるかベーリング海です。
川を下ったサケたちが やがて
たどりつくのが ベーリング海。
そこでの生態
特に どういうルートで回遊し→
何を頼りに日本に戻ってくるのかは→
いまだ多くの謎に包まれています。
その謎を解明するための
大事なミッションの一つが こちら。
この小型記録装置を
サケに取り付けることです。
そう 黒田さんたち
ここでも釣りでサケを捕まえるんです。
大きな網で一気に捕獲するより
1匹ずつ釣り上げたほうが→
魚へのダメージが少ないんだそうです。
生態が詳しくわかれば サケを持続可能な資源として守っていくための→
重要なヒントになります。
こうした研究の一つ一つが 私たちの日々の食卓を支えてくれているんですね。
日本に帰ってくるのは
早ければ今年の秋。
無事戻ってきてくれれば
新たな事実がわかるはずです。
ベーリング海から
はるか3,000キロ。
知床半島の付け根に位置する
忠類川です。
見てください このたくさんのサケ!
はるばる故郷の川に帰ってきたんです。
およそ4年ぶりのふるさと。
目的は もちろん産卵です。
このころになると サケたちの体に
ある変化が現れます。
こちらはオス。
体が赤く色づいていますね。
いかにも強そう。
一方のメスには 黒い帯が現れています。
繁殖期を迎えたサケの特徴です。
この時期 川の中はカップルでいっぱい。
おのおの自分たちのテリトリーで
産卵の準備をしているんです。
突然 メスが
激しく体をくねらせ始めました。
尾ビレの周りに ご注目。
小石が吸い上げられるように舞っています。
こうして穴を掘り
そこに卵を産み付けるんです。
オスは その横で 時折 体を震わせ
メスに産卵を促します。
おや? そんなカップルの間を縫って
泳ぎ回っているサケがいます。
ちょっと はた迷惑な感じですが
何事でしょう?
実はこれ まだパートナーを
見つけられていないオスです。
虎視たんたんと
ほかのオスのパートナーを狙っています。
こちらの仲むつまじいカップルに…→
横入り!
あ~
カップルのオスに怒られてしまいました。
痛い! 痛い!
メスを巡る争いは常に真剣勝負です。
水中に潜って見てみると
さらにすごい迫力です!
カギ状に変化したオスの口先は
相手をかんで はなさない まさに凶器。
産卵場所は
オスたちの戦場でもあるんです。
こちらのオス2匹も 戦いの真っ最中。
かんで かまれてを繰り返します。
ところが 10分ほどたったころ。
突然 ケンカが収まりました。
と あれ? 何だか片方のオスの模様が
変わっている気が。
黒い帯が1本?
これはメスの特徴のはず。
ライバルのオスと並んでみると
やっぱり模様が違います。
先ほどまで 赤い模様しか
ありませんでしたが→
いつの間にか
黒い帯が現れたんです。
これは
まさしくメスと同じ模様。
時間にして ほんの1~2分。
一体 何が起こったのでしょう?
この現象を解説してくれるのは
こちらの方。
サケの産卵を見続けて30年以上。
市村さん この オスが突然メスの模様に変わっちゃう現象→
どういうことなんですか?
そう 模様が変わったのはケンカに負けたオス。
そして
この模様 ライバルからの攻撃を→
かわす効果が
あるかもしれないというんです。
確かに カップルの近くにいても
攻撃されていません。
しかも この メスに変身するという