この どあほ! あねなもんに有り金 全部 使いさらして→
うちら 今日 食べるもんも
あれぃんちゅうのに 何が流星丸じゃ!
じゃかあしい!
親に偉そな口たたきさらすな!
うちは… うちは…→
うちは お母ちゃんと約束したんや。
ヨシヲを守るて。 この家を守るて!
親やったら 親らしいことさらせ!
たっ…!
くそ~!→
邪魔くさいのう もう!
売ってきたらええねやろ売ってきたら!
売ってきたら! フッ…。
どえらい土産 買うてきたらあ。待っとけ!
ヘッ!
はあ… ほんま 生きるて しんどいなあ。
お母ちゃん…。
千代ちゃんは5つの時にお母ちゃんを亡くして→
それからは お父ちゃんのテルヲ
弟のヨシヲと3人で→
ちっちゃな養鶏場を生業に 細々と
ほんまに細々と暮らしておりました。
(子供たち)シラミ~! シラミ~!
何や うるさいねん ボケ!
♪♪~
(ヨシヲ)おなか減ったなあ…。
(おなかが鳴る音)
あかん!
鶏の餌食うたら鶏になってまうて
お父ちゃん いつも言うとるやろ。
テルヲは
10日たっても帰ってきませんでした。
(ヨシヲ)おなか減った…。
ええさけ 行こ。
(ヨシヲのおなかが鳴る音)
(ヨシヲ)おなか減った…。分かったさけ。
はよ行こ。
おなか減っ…。
(辰夫)しゃあないやっちゃな テルヲは。
どうせ 稼いだ金全部 酒と博打に使てしもて→
帰るにも帰られぃんねやろ。
ここは お隣の小林さんとこの家です。
お隣いうても
歩いて30分はかかりまんねんけど→
遠っ!
(きみ)おおけに。そうや 晩飯食うてけや。
ええんけ!?
うん。
おお そねせえ そねせえ。
ヨシヲも腹減ってんねやろ。うん!
(きみ)
なあ 気ぃ遣わんと 好きなだけ食いや。
おおけに。 頂きます。
ん~…。
どねしたんや?
(勝次)一緒に食いたない。何ぬかす!
(勝次)そいつら シラミわかしとんねんで。
うつってまうやんけ。
(辰夫)隣同士やないけ
仲ようしやなあかん!
(勝太)みんな言うとる。
貧乏やからシラミやて。→
そやさけ 学校にも来られぃんのやて。
嘘や! 確かにシラミは わいたけどもう おれぃんわ!
そねやったら 何で学校 来やぃんねん。
(ウメ)今日は賑じゃかで何よりのこっちゃ。
千代ちゃんの家はな
お母ちゃんがおれぃんやろ。
千代ちゃんが家のことしたり
ヨシヲの面倒見んとあかん。→
そやさけな 学校にも行かれぃんねん。
かわいそうやと思わへんけ?
(きみ)勝太 勝次。 千代ちゃんに謝り。
しゃあけど お母ちゃん…。コラッ!
うるさいな もう。
しゃあけど お母ちゃん…。
堪忍な 千代ちゃん。 なっ。
しやぃん… うちは かわいそやない!
去ぬで!
(辰夫)千代ちゃん…。
帰んのけ? まだ食うてんのに。
(きみ)ちょっと ちょっと待って 千代ちゃん!
(戸の開閉音)
今日は賑じゃかで 何よりのこっちゃ。
ええなあ 勝っちゃんら。
お母ちゃんがおって。
あんたには うちがおるやん。
姉やんは お母ちゃんやない。
♪♪~
(風の音)
回想
(サエ)ほら 見てみい 千代。
(サエ)あんたが生まれた時もな
あねなお月さんが出てたんやで。
あんたはなぁ
よう夜泣きする子やったけど→
ここ来たら何でか泣きやんで
すぐ寝てくれてな。
お母ちゃん あんた ほんまに