この方が 繊維の塊がところどころに残るので→
麻ならではの質感が出るといいます。
乾燥機で10分ほど乾かすと…。
完成ですね。
触っていいですか?
ホカホカ! ホカホカ出来たて。
これが追い求めた麻紙。
麻ならではの質感と丈夫さを持つ
この紙の使いみちは?
考えた末に 大森さんが出した結論。
それは…。
トートバッグを作ることでした。
持ち手には 強度を増すため麻の繊維を縫い込みます。
紙でも丈夫なトートバッグの完成です。
新たな装いで よみがえった麻の紙。
モダンなのに
どこか懐かしいイッピンです。
次に ご紹介するのは…。
シンプルなモノトーンながら→
独特の質感が印象的なバッグです。
和装にも洋装にも合うと人気なんです。
素材は シルク。
一見 シルクとは思えない風合いですよね。
蚕の繭の
ある部分が使われているんです。
それは 繭の外側の糸。
生皮苧と呼ばれています。
繭全体から 4%しか取れません。
外敵から身を守るため→
他の部分より繊維が太く
丈夫なのが特徴です。
その一方
かたくて加工がしづらいため→
化粧品などに配合されるばかりで→
織物には使われませんでした。
山形県鶴岡市。
明治の初め シルク製品の生産が始まりました。
養蚕農家 製糸工場 縫製工場。
全てが この地域に集まりシルクの一大産地に。
しかし 戦後に入り→
安い外国産のシルクや化学繊維に押されて→
苦境に立たされます。
シルク産業に活気を取り戻したい。
新たに注目したのが
これまで使いみちに困っていた→
生皮苧だったのです。
(黒谷)うわ! 何? これ。
これが先ほど ご覧になった…
触っていいですか?どうぞ どうぞ…。
このゴワゴワした生皮苧を
やわらかくするため→
特殊な薬品に つけ込みます。
織り機にかける準備ができました。
こんにちは。
(佐藤)は~い。
どうも すいません お仕事中。
よろしくお願いします。
生皮苧は 通常のシルクの
20倍は太いといいます。
織り機は あえて50年以上前の
古いものを使います。
最新の織り機のように
全て自動でやってくれません。
細かい調整が必要です。
縦糸に普通のシルク。
横糸に生皮苧 そして木綿を使います。
白い部分が生皮苧 黒いのが木綿です。
木綿を使うのは肌触りを良くするため。
なぜ 最新の織り機ではなく古い機械を使うのか。
突然 機械がストップしてしまいました。
黒い…。
(佐藤)この黒い糸が…。
生皮苧に引っかかっちゃったんですか。
原因は生皮苧の節。
これが独特の風合いを生むのですが→
織る時 引っかかりやすいんです。
扱いづらい生皮苧の糸。
アクシデントが起こるたびに
職人が機械を調整し→
問題を解決します。
マニュアル操作の多い古い機械の方が都合がいいんです。
生皮苧を織り込んだ生地の
出来上がりです。
生地を水洗いし 乾燥機にかけます。
丁寧に ミシンで仕上げてゆくと…。
バッグの完成です。
これまでのシルクにはない独特の風合いです。
生皮苧という 個性的で手ごわい素材。
その良さを なんとか引き出したいという職人の愛情が→
このイッピンを生みました。
秋田県横手市。
東北の背骨 奥羽山脈に
寄り添うように→
広がっています。
(生方)こんにちは。(惠美子)は~い。
訪ねたのは 中川原信一さん
惠美子さん ご夫婦。
早速 見せて頂いたのは…。
お嫁に来た時の籠?
何年前だと思います? 47年も前です。