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ファッションアイテムの定番 バッグ。
毎日の装いを より華やかに…。
より個性的に彩ります。
これらは日本各地の職人が丹精込めて作ったもの。
「イッピン」では これまで
さまざまなバッグを紹介してきました。
その多くが
天然の素材を使ったものでした。
その土地ならではの風土が育んだ素材。
職人の優れた技が新たな魅力を引き出します。
今日は そんなバッグの世界に
ご案内します。
最初のイッピンは栃木県から。
とある農家のギャラリーを訪ねると…。
うわ これはバッグ?
布とは…
とても丈夫だというバッグ。
素材は麻なんです。
(大森)こんにちは。
こんにちは~。
このバッグって…
栃木県鹿沼市。
ここは 日本有数の麻の産地。
400年ほど前から→
色艶のいい良質な麻を
産出しています。
麻は古くから
邪気をはらう植物とされてきました。
神社の しめ縄や
宮司が おはらいをする時→
手に持つ大麻も 麻で作られました。
更に 紙まで麻で作られていたんです。
正倉院に納められた品々が
書き込まれています。
使われているのは麻の紙 麻紙。
このころ 高級な紙といえば麻紙が一般的でした。
ところが 加工のしやすい
こうぞなどに押され→
平安時代の後期には
麻紙は作られなくなってしまいます。
この麻紙を よみがえらせたい。
そう考えた大森さんは→
各地の和紙の産地を訪ねては→
作り方の基本から学びました。
でも 麻の紙は
なかなか うまくいきません。
試行錯誤を重ねること4年。
原料の麻を精製する時に出る繊維のクズに目を留めました。
これを麻垢といいます。
ゴワゴワしてる!
(大森)だいぶ かたいです。
見た目は何か やわらかいのかなと思ったけど結構 芯があって。
繊維が不ぞろいで
絡まり合っている 麻垢。
これまで使いみちに困っていた
そのことが→
紙の原料にふさわしいのではと
気付いたのです。
丈夫な紙ができるはずです。
麻垢を紙にしていくには想像以上の手間がかかりました。
1週間ほど水につけ
5時間かけて煮出していきます。
(大森)水切ると やっぱり まだ触ると…
(大森)そうですね。
これでもまだ
紙にするには かたすぎます。
そこで…。
ひたすら木づちで たたきます。
たたくことで 中から細かい繊維が
出てくるというのですが…。
2~3時間!
機械を使ってたたいたこともありましたが→
しっくりきません。
自分の手で 木づちを振り下ろすのが一番だといいます。
たたき続けて3時間。
麻垢がようやく やわらかくなってきました。
顕微鏡写真で たたく前と比べると→
たたいたあとでは 細かい繊維が→
飛び出しているのが分かります。
この細かい繊維が 絡まり合って→
丈夫な紙になるんです。
いよいよ 紙を漉きます。
大森さん なんと墨を入れました。
これで 紙全体が黒っぽくなります。
でも 真っ黒にするのではなく→
元の繊維の白と まだらになるように…。
そうですね。
どっちかっていうと やっぱり→
バッグに使うようなやつは
表情を出したいので→
今 やったみたいな…
大森さん実は 特殊な方法で漉いています。
それは この すげたという道具の使い方。
一般的な和紙の漉き方は→
すげたを前後左右に よく揺する
流し漉き。
しかし 大森さんは
すげたを あまり揺すりません。
溜め漉きという漉き方です。