2020/12/06(日) 05:15〜05:45 桂文珍の演芸図鑑 選「高橋尚子 桂宮治 春風亭一之輔」[字]
いいから いいから」。
「そうですか? お清さん すいません。
頂きます。 アッハハ。→
おいしい」。
「まだ飲んでない」。
「…でございます。→
ほんとにおいしいお酒で」。
「面白いね お前は ええ?
ああ あの 鯛のお刺身が…」。
「鯛といいますと
あの 魚の王様の鯛でございますか。→
私 世の中に 鯛というお魚…」。
「いいから 食べなさい」。
「うれしい。 あっ これでございますか。→
透き通る…。おしょうゆ 下地につけて…」。
「おいしい! 何でございますか?
この緑のやつをつけるんで…。→
私 食べたことがない
不調法ですいません。→
この鯛のお刺身に
緑のものを 緑のものを…。→
わっ すごい 抹茶ソフトクリームみたいに
なったんでございます フフフ。→
うん 全然 味… 辛~い! こっ…。→
人間ていうのは 何ですか おいしくても悲しくても 辛くても 涙が…」。
「面白いね~。 ウナギの蒲焼き」。
「か! あっ… うっ… ウナ! ああ!」。
「食べなさいよ ハハッ お前は面白い…。
いや 私 うれしくなっちゃったよ。→
ねえねえ 私もご相伴したくなっちゃった。
ああ 私 冷やでお願い。→
ああ… 燗をつけてもらおうかな。
あとね 何か さっぱりしたもの。→
え? 何が? いや 豆腐のような…。
『豆腐があります』?→
いやいや お前 近頃 だって
豆腐屋に使いを出してない…。→
え? 1週間前の豆腐がある?
ちょっと持ってきなさい これ。→
ブ~ッ! 何だこれ。→
お前 こんなに腐らせて作った人の心持ちを… 捨てなさい。→
あ ちょっと待って 捨てなくていい。→
あの 空き瓶持ってきて。ああ それでいい。→
これを全部 こんなかに入れて…。→
一味あるかい? ちょっと貸して。→
これを全部 こんなかに入れて。
くちゅくちゅ くちゅくちゅ。→
ブウ~エ~ くっせ。
何だこれ。→
あの 裏のね 寅さん呼んできて。
いいから 何も言わなくていいから→
寅… ブウ~エ~!→
こ… フウ フウ…。→
竹さん そこで待ってて。→
今から 私ね 面白いことやるからちょっと 隣の部屋入ってて。→
いや 今呼んだ寅さん 嫌な野郎でさ
一回 ギャフンと言わせたかったんだよ。→
お清 これ 向こうに隠しといて。
今 来るんだろ?→
あっ 来た来た。 寅さん 寅さん」。
「何だよ この野郎。俺 忙しいんだ 呼ぶんじゃねえよ」。
「いや 違うんだよ。
今日ね お前さんにね ごちそうをね…」。
「要らねえよ。
どうせ貧乏人の食いもんだろ」。
「そんなことないよ。 ほら 灘の生一本」。
「偽もんだよ こんなん。何が灘の生一本…」。
「水が飲みたい」。
「おいしそうに飲んでたけど。→
鯛 鯛 鯛 鯛」。
「何だ こんなもんよ。→
何が鯛だ。 マグロの方がうまい…。→
あ… おいし」。「今 おいしいって言わなかった?→
何かないかな 喜んでくれる…。→
あるんだよ。 あのね あの あるんだよ。→
台湾土産でさ
何か 食べ方が難しいってやつが。→
知ってる? ちりとてちんっていうの」。
「ああ~ 俺 食通だから知ってるよ。あっ あれ うまいんだ」。
「そうかい ちょっと待ってて。→
お清 持ってきて。 いいから早く。これこれ」。
「これだ 懐かしいよ これ うめえんだ…→
ブウ~エッ!→
俺 帰って ゆっくりやるから」。
「いいから食べて」。
「いやいや 帰ってゆっくり…」。
「食べ方 知らないんじゃない?」。
「知ってるよ! お前 うるせえな。
俺は食通なんだよ。 うるせえ。→
箸と皿出せよ。 こうやって 簡単なんだよ。
こんなん こうやってやんだろ。→
俺は世界で選ばれた食通なんだし。
って これ ちりとてちんってつうのはね→
食べ方が難し… ブウ~!→
はっ… ブウ~! ちちち…。ブウ~」。
「食べ方難しいね それ。
そうやって食べ…」。
「うるせえな。 これは 鼻つまむの。
鼻つまんで こう…→
大丈夫?」。