2020/12/07(月) 08:00〜08:15 【連続テレビ小説】おちょやん(6)「道頓堀、ええとこや〜」[解][字]


ごめんやっしゃ!
そこで働くお茶子と呼ばれる女性たちは→

座席の確保や お酒や たばこ幕間に食事の手配など→
ごひいきのお客様に
満足してもらうために→
休むいとまもない毎日を
送っておりました。
その芝居茶屋 岡安の全てを
取りしきるのが…。
ここ岡安のご寮人さん 岡田シズさんや。
竹井千代いいます。
よろしゅうお頼申します。
何だす 来て早々 店先で大声張り上げて。しかも あないな汚い言葉で。
向こうが 先 ぶつかってきおって…。
(シズ)何だす?
あんた 親孝行か?
お父さん お母さんのことどれぐらい大事に思てる?
<これは試されてるな…>
そら もうお父ちゃんも お母ちゃんも大好きや。
うちも 一生懸命 働いて


はよ2人に恩返しせな。
待っててや お父ちゃん お母ちゃん。
そうか。 そない親孝行やねやったら→
うちでは使われしまへんな。
はあっ!? 何でや!
親思いの優しい子はな→
やれ お母さんが風邪ひいたのやれ お父さんがケガしたやのと→
すぐ帰ろうとするさかいな。
そないな子に 盆暮れ正月もあれへん芝居茶屋の仕事は 務まれしまへん。
<しもた 逆やった>
 回想 (栗子)あんたら 目障りなんや。
うちは テルヲさんと この子と
家族3人で暮らしたいねん。
うちは もう すぐにでも出ていくさけ。
うちは もう 二度と家に戻らぃんさけ。
二度と?
そうや。
よう そないな白々しい嘘…。
あの家には…うちが おれぃん方がええんや。
そやさけ ここに置いてやってください!
一生懸命 働くさけ!
(宗助)帰りましたで~。
高津さんにお参りしてきたわ。
(かめ)お家さん 旦さん お戻りやす。
えらい賑やかなこったすなあ。
表まで丸聞こえだすがな。
(シズ)すんまへん お母ちゃん。
まあ ええやないか。
お母ちゃん。
(ハナ)しばらく様子見たり。

ほんまに!?
さっき おみくじ引いたらな
大吉やったし 気分よろしねん。
「待ち人来る」て書いたったしな。
それ きっと うちのことやわ。
何 ほたえたこと ぬかしとんねん。
あんた ほげたが達者やなあ。
ほげたが達者いうのは
口が達者っちゅう意味やね。
ほげ… ほげ? ほげ…。
しょうおまへんな。ほな ひとつきだけ置いたげます。
ひとつき…。
それまでに 代わりの子見つけといてんか。
もっと素直で賢い子。
あんたは それまでの つなぎや。
ひとつきも置いてもらえるやなんて
うれしいなあ。
ほな わしは これで。
シズも おちょやん相手にこない厳しいせんかてええのになあ。
あの… 何で うちの名前 知りよるんけ?
名前?
お千代やんて。
あ~ ハハハハ そやない そやない。
ちっちゃい女中見習のことを
おちょぼとか おちょやんいいますのや。
お千代いうんか。
そや。
「そや」やおまへん。 「へえ」。
へえ。
(ハナ)あのご寮人さんは きついで。

そやけどな このひとつきの間にしっかり仕事覚えたら→
ご寮人さんの気ぃも
変わるかも分かれへん。
せえだい お気張り おちょやん。
はいっ!「はい」やのうて 「へえ」。
へえ!
かめ あとは任したで。
(かめ)へえ。
♪♪~
竹井千代です。
あの…。何もせんかてええ。
ひとつきで いてへんようになる子に
教えたとこで時間の無駄や。
そ… そねなこと言うとらんと 何ぞ。
せやないとご寮人さんの気ぃ変われぃん。
ほんなら そこの釜でも磨いとき。
へえ!
これ 食うてもええけ?
もったいないさけ。何や。
うちが粗末にしたとでも言いたいんか?