♪♪~
(桜子)仙吉さん。 野木山さん。皆さん。
私も この店を
私の力で支えられるものならと→
心の底から 思っていました。
女将さんを思い達彦さんを思いながら→
この「山長」で 皆さんと ずっと
一緒に暮らしていきたかった。
でも… 達彦さんは 死んだんです。
♪♪~
申し訳ありません。
♪♪~
そして…
本当に ありがとうございました。
(マサ)<達彦を愛し かねを愛し→
それゆえに支え続けてきた「山長」を→
桜子は ついに 去ったのでした>
(磯)桜ちゃん。人生は これからだでね。
(徳治郎)ほうだ。 ほうだぞ。
桜ちゃん まだ若いだもんでね。戦争は いつか 終わるし。
ここは ひとつ 割り切って
自分の幸せを考えんと。 ねっ。
ほうだ ほうだ。 ほんとおりだ。
あっ お代わりは? 元気つけなね。
お代わり お代わり…。 あっ ない。
叔母さんの 食べ。
おじいちゃんのも ほら。 はい。
ありがとう。
でも もう おなかいっぱい。
後片づけは 私が やるで。
叔母さんも仕事があるだらあ?
もう 行ったら?
おじいちゃんも
畑仕事があるでしょう?
あ… ほうだ。
2人とも 私に 張り付いとらんでそろそろ 仕事始めた方がいいよ。
私も 一人になりたいで。
桜ちゃん…。
♪♪~
<その後の数日 桜子はたった一人で 家にいました>
♪♪~
<渇ききった心が 誰かに会う事で崩れてしまうのを→
恐れていたのかもしれません>
<砂漠のような むなしさを抱えたまま→
ただ 毎日が過ぎていきました>
♪♪~
(物音)
(冬吾)よう…。冬吾さん。
ちょっとの間 世話になるはんで。
腹 減ったな。何か食わせてけれじゃ。
冬吾さん。 何しに来たんですか?
東京から わざわざ来たんだから大事な用があるんでしょう?
米ばっかりの飯なんて
久しぶりだなあ。
お代わりしてもいいべか?
<そんなふうにして→
冬吾は しばらく
有森家で過ごしました。→
何を目的に来たかも告げず>
(郵便局員)有森さん 郵便です!
笛姉ちゃん。
(笛子)「桜子の様子はどうでしょうか。→
早く東京へ来るように→
私も杏子も 待っているとお伝え頂けたのでしょうか。→
返事が遅いので 心配しています」。
(ピアノの音)
これ…。
冬吾さん→
私の事 東京へ呼び寄せるように
言われて来たんだね?
うん。
何で その事 早く言わんの?
ピアノ 弾いでねえのか? 桜ちゃん。
ず~っと 触ってねえんだべ?埃が たまってるな。
弾く気になれんのだもん もう。
んだか。 もったいねえなあ。
達彦君に
言われたんでねがったか!?
「音楽を忘れるな」って…。
ほいだって→
弾く気になれんのだもん。
しょうがないじゃん!
♪♪~
叔母さんも おじいちゃんも亡くなったお母さんも→
みんな 言う事は 一緒。
「もう忘れろ。→
お前の人生は これからだ。
頑張って生きろ」って…。
何で みんな そんな事 言うの?
無責任だよ!
♪♪~
私の人生なんて一体 どこにあるの!?
♪♪~
達彦さんも お母さんも死んじゃった。
お母さんが生きとる時は まだ
達彦さんが生きとるって思えた。
♪♪~
大事な人が 2人いっぺんに私を置いていっちゃったんだよ!
♪♪~
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