(千代)おはようさんでございます。
おはようさん。
おはようさん。おはようさん。
♪♪「オレンジのクレヨンで
描いた太陽だけじゃ」
♪♪「まだ何か足りない気がした」
♪♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪♪「転んでも ただでは起きない」
♪♪「そう 強くなれる」
♪♪「かさぶたが消えたなら」
♪♪「聞いてくれるといいな」
♪♪「泣き笑いのエピソードを」
♪♪~
喜劇 天海天海一座がやって来て→
道頓堀 えびす座は
賑わいに花を咲かせておりました。
(一平)このような みすぼらしい
おばあ様は 嫌でございます。
(千之助)こっちも嫌じゃ!
(笑い声)
友之進様
時が参ったようでございます。
菊松… 達者でな。
(千之助)市松… 市松… 市松!
やっぱり嫌や!
(笑い声)
(天海)わし もっと生きてたいんや!
父上~!
はよう成仏してください。
(拍手と笑い声)
なんまいだ なんまいだ なんまいだ
なんまいだ なんまいだ なんまいだ…。
何や お前 もっと しゃきっとせんかい。
すんまへん 誰か いてはりませんか?
≪(シズ)へえ。
(シズ)どないしはりました?
女将 すまんけど
一平に 布団ひいたってくれへんか。
具合 悪おますのか。
寒気する… 晩は無理や。
(天海)ほんま情けないやっちゃのう。
親が亡うなっても 舞台に穴あけへん。
それが役者っちゅうもんじゃ。
だあっ!
父 天海と一平は
道頓堀で芝居を打つ時は→
ここ岡安に寝泊まりすることが
常となっておりました。
(ハナ)ここに置いときますさかい。
おおきに。
(せきこみ)
ボンやん。
何だすね あの芝居は。
みんな 笑てたやないか。
あれは笑わしてたんと違います。
笑われてましたんや。
今の方が よっぽど ええお芝居してはる。
フフ…。
≪ごめんやす。
ほどほどにな。
あ~! 喉カラカラやったわ。
元気そやな。当たり前や 仮病やし。
仮病!?
しっ!
何で仮病なんか。
俺は 好きであいつの子に生まれたんやない。
せやのに
2代目や何やと勝手に決められて→
けったいなカツラ かぶらされたり→
顔 白う塗られたりして人前に出されんねんで。
しかもな おやじは芝居の時以外は
ず~っとお酒飲んで→
あとは 女 女 女!
もう ほんま しょうも…。
しょうもないな!
なれなれしいな 自分。
年 なんぼ?
9つ。
おんなじや。 あれ 学校は?
行ってへんわ そんなもん。それも おんなじや。
うちら もう親友やな。
勝手に決めんな。
俺は こう見えても 天海天海の息子やで。
そら おかしいわ。お父ちゃんのこと嫌いやのに→
お父ちゃんの子供やて自慢すんのけ?
そらそやけど…。
≪(みつえ)一平!
(みつえ)頼まれた本 買うてきたで。
(せきこみ)
おおきに。(せきこみ)
あとは うちがやるさかい ええで。
フフフフ。
そね おもろいんけ?
読むか?
読めん。
あんた 字ぃ読まれへんの?
別に 字ぃなんか読めんかて