（千代）私には神聖な義務が ほかにあります。
どんな義務というのだ。
私自身に対する義務ですよ。
どないだす？
（玉）すごいな～ 千代ちゃん。 なあ。（里子）へ… へえ。
千代さん 年季明けたら
役者さん なりはりますの？
（百合子）一生一回
自分が本当にやりたいこと やるべきよ。
（シズ）自分が どないしたいのか
もっと よう考えなはれ。
そうせな 後悔する。
そんなん なれるはずあれへんやんか～。無理や無理や無理や無理や～。
シズ…。
（シズ）ほな ごめんやす。
千秋楽の明くる日の朝 ここで待ってる。
この２人 どないな間柄なんでしょうか？
私には 神聖な義務が ほかにあります。
どんな義務…。
♪♪「オレンジのクレヨンで
描いた太陽だけじゃ」
♪♪「まだ何か足りない気がした」
♪♪「これは夢じゃない（夢みたい）」
♪♪「傷つけば痛い（嘘じゃない）」
♪♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪♪「転んでも ただでは起きない」
♪♪「そう 強くなれる」
♪♪「かさぶたが消えたなら」
♪♪「聞いてくれるといいな」
♪♪「泣き笑いのエピソードを」
♪♪～
（シズ）延四郎さん。（延四郎）シズ…。→
千秋楽の明くる日の朝
ここで待ってる。
（みつえ）お母ちゃん。→
お母ちゃん これ見て。ああ よう似合てるわ。
（宗助）ほな 行こうか。
♪♪「いのち短かし」
（宗助）ええなあ。
♪♪「恋せよおとめ」
（宗助）ええやんか。
♪♪「朱き唇」
ああ～！ 福富のお茶子さんたちや！
荻野堂はん。 ええとこで会うたわ。
岡安さん。
今 お持ちするとこだした。
きなこ３つに よもぎ２つ
みたらしも おまけさしてもろてます。
おおきに。 どないしたん 気前ええやんか。
岡安さんにはいつも ひいきにしてもろてるし→
こないな時に
何も力になられへんけどって 旦さんが。
こないな時？
姐さん。
（富士子）あんたも聞いたんか
ご寮人さんのこと。
（節子）不義密通！？
すんまへん。すんまへん。
道頓堀中で噂になってます。
役者の早川延四郎さんとそないな間柄やて。
あれへんわ。 あのご寮人さんに限って。
フギミッツウって何だす？
あの いけずがな ２人が
こっそり会うてるとこ見たんやて。
（椿）まさか 岡安のご寮人さんがなあ。
（２人）なあ。
早川延四郎さんと あないなことなあ。
ええ？えっ？
（菊）ちょっと 清水屋さんに
ご挨拶行ってきますわ。
（３人）へえ。
（福助）あれ 絶対 岡安のこと→
笑いに行きよったんやで。
（福松）はあ～ くわばら くわばら。（トランペットの音）
福富の椿かあ…。
し～っ！
どうせ あること ないこと噂して
岡安の客 引き抜こいう魂胆だすやろ。
（かめ）今回ばっかりは
そうやないかも分かれへんなあ。
お父ちゃん どない…。
し～っ！
駆け落ち！？
ご寮人さんと あの延四郎さんがだすか？
そや。 もちろん
旦さんと出会う ず～っと前の話やで。
フギミッツウって何だす？
はよ続き。
延四郎さんはな 岡安継ぐために
お茶子修業してはったご寮人さんを→
大層 ひいきにしてくれてはってな。
ほんで ２人は そないな仲に…。
ご寮人さんは 周りの反対押し切って→
東京へ出ていく延四郎さんについていことしはったんや。
駆け落ちやんか。 それ駆け落ちやんか。
（かめ）けどな すんでのとこで お家さんがご寮人さんを ひっつかまえはってな。→
結局 ご寮人さんは
待ち合わせの場所に行かれへんかった。→
ほんで 延四郎さんは１人で東京へな。