いよいよ明日 信長が従五位下に叙され→
晴れて昇殿が許される運びに
なりましてございます。→
将軍家なき今 信長は
しかるべき官位に就けねばなりません。→
これで少しく 安堵いたしました。
(正親町天皇)今 信長には勢いがある。
天下静謐のための働きは見事である。
褒美をやってもよい。
(実澄)仰せのとおり。
とは思うが…。
蘭奢待を所望と言うてまいった。
は…?信長じゃ。
蘭奢待を…。
(正親町天皇)いかがであろうな。
あ… 所望とは つまり…
切り取りを許せと?→
う~ん…。→
8代将軍 足利義政が拝観して以来 110年。→
しかるべき者が
しかるべき手順を踏んで→
初めて かないますものを。→
あまりにも急な申し出。しかも 切り取り所望とは…→
あまりにも不遜の仕儀かと。→
お上が それでよしとおぼし召しなら…→
やむをえませぬが…。
天正2年3月28日。
東大寺正倉院の扉が開かれた。
古きより伝わる 香木の蘭奢待が110年ぶりに運び出されたのである。
♪♪~
(浄実)こちらへ。
♪♪~
これが…。
こちらが 3代将軍 足利義満公が→
切り取りし跡でございます。
こちらは 6代将軍 義教公。→
これは 8代将軍 義政公が切り取りし跡にございます。
その次が わしか…。
拝領つかまつりたい。
この信長にも 是非。
♪♪~
(佐久間信盛)殿もこれで
歴代将軍と肩を並べられました。
♪♪~
1つ 帝に差し上げよう。
帝も きっとお喜びじゃ。
これは蘭奢待…!
ちんが喜ぶと思うたのであろうか?
信長は。
まことに… まことにもって
恐れ多いことにござりまする!
毛利輝元が 関白に
これを所望したいと願うているそうじゃ。
毛利に贈ってやるがよい。
しかし 毛利は 目下信長と にらみ合うている間柄…。
それは ちんのあずかり知らぬこと。
毛利に贈ってやれ。
は…。
織田信長… よくよくの変わり者よのう。
同じ頃 信長に加勢していた三淵藤英は
坂本城に急きょ預けられた。
三淵様には この一年 山城の一乗寺
静原山の城攻めをはじめ→
幾度も お力添えを賜りました。
その三淵様の居城をいきなりお取り壊しにするとは…。
信長様のお考え
時に計りかねることがございます。
(三淵)主とは そういうもの。
その時にこそ どう付き従うか…そこが家臣の器。
家臣の器…。
もはや 古い考えかもしれぬが。
坂本城… よき城でござるな。
♪♪~
丹波を押さえ込め!
丹波を?丹波じゃ。
信長が いよいよ
この丹波に攻め寄せるのじゃな?
丹波は難しい国でございます。
敵ばかりですよ。
信長はどうか?
どうだ?
容赦せぬぞ。
父上。
これが 信長様の下されたご判断か。
一に戦 二に戦。 まず戦じゃ。
明智様が ご主君なら いかなる戦にも
身をなげうつことができる。
京都府宇治市。
戦国武将たちに愛好された茶の生産地として知られています。
かつて 宇治川が流れ込んでいた巨椋池。
その中の島に築かれたのが 槇島城でした。
織田信長に反旗を翻した
将軍 義昭が籠城した城です。
しかし 信長率いる大軍勢に攻め込まれ
義昭は あえなく降伏しました。
誓澄寺の毘沙門天は→
槇島城の守り神として祭られていたものです。
戦火の中 城から持ち出されたと
伝えられています。
中世からの名が今も残る 枇杷庄。