♪♪~(テーマ曲)
♪♪~
(達彦)幸せになる資格なんかないんだよ。
俺は向こうで…
戦場で死ぬべきだった。
帰ってくれ!
(桜子)あっ 達彦さん!
どうしても取り戻せん事って
あるんだね。
達彦さんが帰ってくれば…
帰ってきてくれさえすれば→
何もかも元に戻ると
思っとったのに。
(杏子)
なんとかしてやれんのかしらね。
(浩樹)うん。
達彦さんの事あんなに思っとるのに→
達彦さんには
あの気持ちが伝わらんのかしら。
伝わる分だけ つらいんだろうな。
戦場で何かがあったはずだ。何があったのかしら。
いや… それが分かれば
なんとかなるかもしれない。
よし!
(野木山)思い出しん 野木山思い出しん。 あっ こんにちは。
すいません。 ご当主は?
えっ?
あっ 思い出した。
(おふみ)やった!
えっ?
あっ いえいえ。 大将?
こんにちは。
どなたですか?
有森杏子の夫です。
鈴村といいます。
私 漢口で 松井さんの部隊と
擦れ違ったんです。
そうですか。
あのあと 重傷を負って→
内地に送還されましたが
戦友は ほとんど死にました。
私も 向こうでの記憶には
長い間 苦しめられました。
楽になったのは 最近
女房に その事を話してからです。
これ どなたかの遺品ですか?
何でもありません。
同じ部隊の方の物ですね。 もう
お見舞いには行かれたんですか?
あなたには関係ない。
ほっといて下さい。
回想
≪(爆撃音)
(園田)松井! 今夜22時 陣地を
撤収する。 装備を整えておけ。
軍曹殿!
若山は 自力で歩けませんよ。
(園田)若山も軍人だ。
身の処し方は 知っとるだろう。
≪(爆撃音)
おい!はっ!
(若山)兵長殿。 自分は…
自分は… 死にたくはありません。
若山!
戦死した仲間の事を気に病んでるらしい。
遺品を
家族に渡しそびれてるんだよ。
そうですか…。
帰ってきてから一度だけ外出したっていうんだな。
仙吉さんが言うには
豊川に行ってきたって。
多分 そこに
戦友の遺族がいるんだろう。
豊川のどこですか?
うん?私 行ってきます。
弟さんは
19年の補充隊の所属ですよね。
(百合子)はい。
去年の6月に 戦死致しました。
本隊に見捨てられて→
弟の部隊は 最後は前線で孤立しとったそうです。
私の知人が
弟さんと同じ部隊におったんです。
ずっと行動を共にしとったようで。
その人に 会って頂けませんか?
達彦さん。
若山さんのお姉さんに会いに行こう。
会いに行こう。 一緒に。
君には関係ない。
ほっといてくれ。
ほっとく訳には いかん!
このまんま 達彦さんを
一人にしとく訳には いかん。
逃げんで!
何があったのか ちゃんと話して。
君に何が分かる?
戦地に… あそこにおらなんだ人間に 何が分かる?
私だって苦しんでた。
戦争中 あなたがおらん事に苦しんで あがいとった。
全部 話して。