2020/12/23(水) 00:30〜01:20 NHKスペシャル パンデミック 激動の世界(6)「“科学立国” 再生への道」[字][再]
新型コロナウイルスに作用させて→
ウイルスが減らせるかどうか 調べます。
論文で発表し 注目を集めたのは→
こうした研究で見つけ出した
有望な薬の候補だったのです。
今回 馬場さんたちが 欧米に負けない
速さで 成果をあげられているのには→
秘密があるといいます。
それが この冷凍庫の中に保管されています。
長年の研究で蓄えられた→
およそ3,000種類もの薬の候補物質です。
ある意味では…
南九州では 昔からウイルス性の白血病をはじめ→
さまざまな感染症が
問題になっていました。
そこで 馬場さんは いろいろなウイルスに
効く可能性がある化学物質を→
ほかの専門家と共同で いくつも作り出し
蓄積してきました。
その宝の山の中から
新型コロナに効く化学物質が→
次々と見つかっているというのです。
一方で 大量の物質から効果のあるものを絞り込む上で→
大きな課題がありました。
一つの物質の効果を確かめるだけでも→
数時間かかる検査を
繰り返さなければならないのです。
そうした中 時間を一気に短縮できる
画期的な方法を→
別の日本人研究者が発見していました。
国立感染症研究所の松山州徳さんらが目をつけたのは→
VERO細胞という細胞です。
分かりますか? 1 2 3 4 5 6…。
これ全部 VERO細胞です。
VERO細胞は サルの体から取り出した細胞。
新型コロナウイルスに
極めて感染しやすく→
感染すると
すぐに死んでしまう性質があることを→
松山さんたちは
世界で初めて発見したのです。
このVERO細胞が 馬場さんたちの実験を
格段に加速させることになります。
まず VERO細胞を
新型コロナに感染させます。
薬を加え 細胞が死んでしまえば
その薬は効果なし。
無事 生き残れば
その薬は ウイルスを抑える効果あり。
細胞の生き死にを見るだけで 瞬時に→
効き目を判定できるようになったのです。
こうして 馬場さんたちは
通常1年はかかるところ→
たった4か月で 4種類 有望な薬の候補を
見つけ出すことができたといいます。
今 それらの物質の効き目を 更に
高めるための改良実験を重ねています。
しかし 薬をいち早く実用化する上で→
馬場研究室は大きな課題を抱えていました。
まず驚いたのは
研究を担う人材の少なさです。
うちの准教授の岡本でございます。
よろしくお願いします。
それから 特任助教の外山でございます。
よろしくお願いします。
非常に今 こう… 世界中が期待をしている
薬を作るっていう仕事で→
ちょっと それは衝撃ですね。
最も若い35歳の外山政明さんはチームでただ一人の薬学部出身。
薬のエキスパートとして→
効果を高める改良実験には欠かせない人材です。
薬を作る科学者になるのは
子供の頃からの夢だったそうです。
今 開発中の新型コロナの特効薬は→
この先 人での効果や安全性を確かめる試験に進めるかどうか→
重要な段階です。
ところが…。
実は 外山さん 非正規雇用の研究者。
このまま 来年の春以降も研究を続けられるかどうか→
分からないというのです。
重要な役割を担う若手研究者が短い期限つきでしか働けないという現実。
これこそが 日本の科学が
低迷している重大な要因として→
問題視されています。
2007年 全国の国立大学で働く40歳未満の研究者のうち→
期限つきの雇用は 39%でした。
それが 去年は 66%と大きく増えているのです。
なぜ いつから 日本は
科学を担う若手研究者が→
厳しい環境に置かれるようになったのか。
その背景を知る重要な人物が12月初め 90歳で世を去りました。
およそ20年前 文部大臣を務めた
有馬朗人さんです。
おはようございます。
どうぞ どうぞ。
訃報が伝えられる3日前に取材し
貴重な証言を得ていました。
有馬さんは 原子核物理学の研究で
数々の国際的な成果をあげ→
日本のエネルギー政策にも