その件で 松永様の動きが気になりまする。
ご家来衆にも 尾張以来の譜代の方々と
新参の方々との間で→
やや意気込みの違いがあるやに。
決して家中一体とは…。
…して 信長様は 今
この徳川をどう見ておられる?
(菊丸)正直に申し上げても…?
構わぬ。
今は三河のことなど
お忘れではないかと。→
新たにお造りになる 安土の城のことで
頭がいっぱいのご様子。
信ずるに足るとすれば
やはり 明智様かと。
そうか…。
やはりな…。
京では 光秀の病が癒えるのと
入れ代わるように→
熙子が胸の病で床に伏せっていた。
(十五郎)母上 どうぞ。ありがとう。
熙子様 闘病平癒の鬼やらい~!
(3人)うりゃ~!鬼やらい~!
♪♪~
病魔退散~!うわ~!
病魔退散~!
うわ~!
♪♪~
どこの祭りかと思うたらこちらであったか。
駒さんと左馬助が 伊呂波太夫の
一座の方々を招いてくれたんです。
駒殿 かたじけない。
今日は 私の顔色がいいと皆が申します。
よい祭り日和でございます。
(明智左馬助)奥方様わしは駒殿から踊りを習いましたぞ。
ひとつ ご覧に入れましょう。
はっ。 よっ。
はっ。
(岸)左馬助 違います。
え…。
手は こうして こうでございます。
こうして こう?
うお~!病魔退散~!
病魔退散~!
ハッハッハッハ…!
♪♪~
寝ていなくてよいのか?
あまりに楽しかったものですから
まだ余韻に浸っていとうございます。
そうか。 それはよい。
♪♪~
部屋を片づけておったら
こんなものが出てきた。
これは…。
そなたから もろうた温石じゃ。
懐かしい… 持っておいででしたか。
ずっと持っていた。
坂本城に連れていって頂いた時は…→
夢のようでございました。
(熙子)越前での暮らしは
子どもたちも幼く→
苦しい中にも
張りのある日々でございました。
わしの留守を 気丈によく守ってくれた。
十兵衛様…。何じゃ?
ずっと思うておったことがあります。
越前へ逃れる途中駒さんが話していました。
世を平らかにする者が
現れた時→
そこに訪れる
生き物のお話…。
私は 麒麟を呼ぶ者が
十兵衛様 あなたであったなら…→
ずっと そう思っておりました。
わしが…?
(熙子)あと いくつ戦をしのげば
穏やかな世が見られるのでしょうか?
岸や たまの子は
戦を知らずに育つでしょうか?
♪♪~
(熙子)眠くなりました。
ずっと こうしていよう。
天正4年 秋 光秀の妻 熙子はその生涯を閉じた。
これは松永久秀の罠だ。
信長 恐るるに足らず!
うそをつきおった 十兵衛が!
抜かりはござりませぬ。
殿と一緒にたたりを受けるやもしれぬ。
帝が?平蜘蛛という。
内緒。
松永様の笑い声が聞こえておるぞ。
どうだ 十兵衛 恐れ入ったか。
琵琶湖を望む西教寺。
光秀の妻 熙子が埋葬されている
明智一族の菩提寺です。
比叡山焼き打ちの後
光秀が復興に尽力した この寺の総門は→
居城 坂本城から移築したものだと
伝えられています。
熙子の葬儀は この寺で執り行われ