表明しました。
(シズ)これからは
自分のために生きますのや。
生きてええのや。
(千代)ご寮人さん…。
千代ちゃんは そのあと舟を降りて
大阪駅へと向かいました。
行く当てもなく汽車に乗った
千代ちゃんが降り立ったのは…→
京都どす。
(鐘の音)
♪♪「オレンジのクレヨンで
描いた太陽だけじゃ」
♪♪「まだ何か足りない気がした」
♪♪「涙色したブルー こぼれて ひろがって」
♪♪「ほら いつも通りの空」
♪♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪♪「転んでも ただでは起きない」
♪♪「そう 強くなれる」
♪♪「かさぶたが消えたなら」
♪♪「聞いてくれるといいな」
♪♪「泣き笑いのエピソードを」
♪♪~
今すぐ働きたい言われてもなあ。
どこのどなたさんとも分からん娘を
そない簡単に雇てくれるとこ→
なかなかあらへんわ。
どないな仕事でも よろしおます。
うち 住むとこも持ち合わせも
あんまり あれへんのだす。
早いとこ仕事せな
うち 生きていかれしまへん。
まあ…。
それだす! お願いします!
まだ 何も言うてまへんがな。
これは 旅立ちだす。
♪♪~
すんまへん。 ここ行きたいんだすけどどっちだすやろか。
これな…。
≪(猫の鳴き声)
ここやんなあ…。
≪(猫の鳴き声)
いった!
(洋子)いや 堪忍。
どちらさん?
えっと…ここで働かしてもらお思て来ました。
また新入りか。 監督~。
≪(宮元)は~い。 はい はいはいはい。
あっ! さっき口入れ屋さんから
知らせあったわ。
寒いから入って。
おおきに。 ごめんやす。
今のが うっとこの一番人気の
洋子ちゃんや。
本物の女優さんやで。
このお店女優さんが働いてはんのだすか?
そや。 看板見たやろ。
はい。
ほんでや…→
僕が 監督の宮元です。
≪(猫の鳴き声)
監督?
知らんのかいな? 活動写真を撮る人や。
うちは 店長さんに用があんのだすけど。
(平田)この人は ただの活動好きの店長。→
周りに監督て呼ばして喜んどうだけや。
あいつは 助監督の平田。
ボーイの平田です。 フフッ。
はあ…。
さあ そしたら自己紹介をしてもらおかな~。→
いくで~。
はい 本番! いきます!よ~い はい!
(宮元)はい! はい!
はい! はい! はい! はい!→
いや… 本番や 本番や。
えっ えっ えっ…。
いくで。 はい!
あっ えっ… 竹井千代と申します。
数えで18になりました。
道頓堀の岡安いう芝居茶屋で→
9つの時から奉公してましたけど
年季明けて京都へ来たんだす。
京都には 鶴亀やら日キネやら
撮影所が ぎょうさんあるから→
そういう子が よう来んにゃ。
何ちゅうてもやで うちの店にはほんまもんの女優さんがいてるし。
(宮元)撮影所の人間も
ぎょうさん来んねんな~。
うまいこといったら
えっ… 名前 何やった?
千代だす。
千代ちゃんも 一躍 スターさんや!
なあ うち えらい店やろ。
フハハハハハハハハハ!フハハハハハハハハハ!
フハハハハハハハハハ!
ハハハハハハ… あの 何の話だす?
あっ… あんた 女優志望ちゃうの?