♪♪~(テーマ曲)
♪♪~
(達彦)結核なんだ。
お前は 結核に かかっとるって
医者に言われた。
♪♪~
今日の演奏会は 諦めんといかん。
(桜子)でも…。
体のためなんだ。 桜子。
いいか?
お前は 今 普通の体じゃないんだ。
妊娠しとるんだぞ。
つまり お前の体には→
お前の命と 赤ん坊の命と
2人の命が 懸かっとるんだ。
お前が どんなに
演奏会に懸けてきたか→
それは 俺にも よく分かっとる。
だから 俺もこんな事 言うのは つらいよ。
桜子…。 けど 分かるよな。
赤ちゃんのためだよね…。
そうだ。 俺達の子どものためだ。
♪♪~
(野木山)ああ~ 女将。
(仙吉)女将さん。 お加減は?
大した事ないわ。 気にしんで。
奥に 床を用意させましたで早く 休んでおくれましょう。
ありがとう。 桜子。
どうぞ どうぞ。 さあ。
(笛子)大丈夫かん? 桜子。
お姉ちゃん。 冬吾さん。
ごめんね。 演奏会
楽しみにしてくれとったのに。
(杏子)そんな事 気にせんで。
それより 赤ちゃんは?
何ともない?
うん…。この子のためにも頑張らんとね。
これからって時に…。
よりによって 何で 桜子が…。
お医者さんは 何て?
「滋養のあるものを食べて安静にしてるように」と→
強く言われました。
治るの?
医者からは そういう事は 何も…。
(冬吾)桜ちゃんは 若いはんで望みは あるべさ。
僕も そう思ってます。
ただ… 医者にもう一つ 言われた事があって。
一つ?
子どもは… なるべくなら産まん方がいいって…。
♪♪~
「今の病状のまま 出産するのは母体に負担をかけ過ぎる。→
場合によっては
考え直した方がいい」って。
桜子には まだ言ってません。
演奏会が 駄目になった事も→
あいつは
おなかの子のためならって→
なんとか受け入れようと
しとるんです。
桜ちゃんにとっては
きついだろうね。→
いくら 自分のためだって
言われても→
一旦 授かった命を諦めるのは→
女の人にとってはなかなか できる事じゃないよ。
♪♪~
達彦さん…。 ごめんね…。
桜ちゃんの病気の事
私 何で 気付かんかったんだろう。
もっと 早くに気付いとったら
こんな事に ならんかった…。
いえ。 僕が気付いとったら
よかったんです…。
とにかく
桜子の体の事を 第一に考えんと。
大事なのは これ以上
病気を悪くしない事ですよね。
俺 頑張ります。
♪♪~
どうだ? 調子は。
何ともないよ。 寝とるだけだもん。
退屈で 体が ムズムズするわ。
ほいでも おとなしく寝とらんと駄目だ。 体のためには。
分かってます。
手紙が来とったよ。君の教え子達からだ。
良太君だ!
「桜先生。 また元気になってピアノを弾いて下さい」。
緑さんと あかねさんからも。
みんな 君が 元気になるのを待っとるんだ。
頑張らんとな。
うん。 頑張る。
何か 音楽 聴こうか?
じゃあ あれがいい。
「サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」。
分かった。
♪♪~(「サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」)
(マサ)<それから しばらく 達彦は桜子の看病を続けました>
♪♪~(「サニーサイド・オブ・ザ・ストリート」)
<結婚以来 忙しく働いてきた2人にとって→
思えば それは 初めて訪れた