<これやったら一生 稽古なんかできへんやんか!>
やること みんな済ましたら
いつでも言うてな。
お稽古したるさかい。
<また だまされた…>
<これ 何のため?>
♪♪~
こんにちは。
こんにちは。
<これは 何のため?>
あった。クフフフ…。
<せやから これは
何のためやっちゅうねん!>
<四葉 四葉 四葉…>
<どれもこれも 葉っぱは3枚やんか!→
四葉の白詰草なんてあんの!?>
♪♪~
まだやってんの。 寝てるの? ちょっと。
稽古行くわよ 早く支度して。 これ広げて。
はい 浴衣入れて。
はい。
<重たい… 何入ってんの これ>
<劇場は あの先 曲がったとこやな。もうちょっこしや>
(鳴き声)
駄目!(鳴き声)
向こうから行くわよ。
どないしはったんだす?
黒猫が通ったでしょ!
うっ!縁起悪い!
遠回りだけど 向こうから行くしかないわ。
<ええ~っ!>
(泣き声)
♪♪~
ちょん。
(掛け声)
♪♪~(三味線)
(千鳥)寝ぼけてんじゃない!すんまへん!
(千鳥)…ったく 何年やってるの!
そこは もっと軽く!→
少しの音も立てるなって言ってるでしょ!
この下手くそ!
できないなら
さっさと田舎に帰りなさい!
(艶子)すいません。
あの… もう一度 お願いします!
もう一度とか簡単に言うんじゃない!
あっ…。お客様にとっては その一回きりなのよ!
(千鳥)何べんやったって
あんたみたいなグズ できるわけがない!
そうして 私は
だんだんと上様に捨てられ…。
(千鳥)もう一度。
そうして 私は だんだんと上様に…。(千鳥)駄目 もう一度。
そうして 私は…。
駄目!あ~!
何言ってるか分からない!
何にも感じない!→
あんたのセリフより
赤ん坊の泣き声の方が よっぽど伝わる!
あんた 赤ん坊以下!
生まれ直してきなさい!
はい そうします!
そんなに怖いがけ 山村千鳥は。
晩は毎日8時間以上寝んと
気ぃ済まへんみたいやし。
座員たちに
さんざん ひどいこと言うだけ言うて→
すっきりして よう寝んねん きっと。
知らんけど。
千代ちゃん よく辞めんかったね。
(いびき)
こないして 数日が過ぎていきました。
♪♪~
何でやねん! もう何でやねん!
ぬう~! 千鳥~!
<昨日 全部洗たのに どんだけ着替えんの>
もちろん 千代ちゃんがお稽古してもらえたことは→
一度もありません。
(千鳥)違~う! もういっぺん!
♪♪~(三味線)
(千鳥)違う! 違う! 違う違う!何で分かんないんだよ!
違う違う! 違う!
♪♪~(三味線)
(千鳥)ここだって!
♪♪~(三味線)
(掛け声)
♪♪~(三味線)
違う!
そんなある日…。(泣き声)
清子さんが
千鳥さんを訪ねてきはりました。
≪(清子)昨日 とうとう
三楽劇場の座本から言われました。
このまま
客の数が減り続けるみたいやったら→
山村千鳥一座は 今月で打ち切るて。
また この町 出ていかなあかんようになるかも分かりません。
≪(清子)私に一つ考えがあります。
これを…→
私たちでやりませんか?