どないするんですか？ほかを探すだけよ。
どこ行っても おんなじです。
私たちみたいな女だけの劇団→
快う受け入れてくれるとこなんて
ありません。
あんたたちの芝居が下手だから。
自業自得よ。
前にも言うた「正チャンの冒険」
あれ やってみませんか？
回想
（清子）私たちでやりませんか？
今 子供から大人にまで えらい人気の
「正チャンの冒険」って漫画です。
台本も書いてみました。→
読んでみてください。
この「正チャンの冒険」は→
当時の新聞に連載されていた４コマ漫画です。
宝塚少女歌劇団でも舞台化され→
子供たちに えらい人気やったそうです。
あんなもの私のやりたい芝居じゃないって
前から言ってるでしょ。→
客に こびを売るような芝居
するつもりはない！
けど このままやったら…。
うちからも お願いします。
あなたの出る幕じゃない。
けど…。
駄目。
お願いします！やらせてください！
お願いします！
（一同）お願いします！
このまま お芝居する場所 のうなったら→
千鳥さんのやりたい芝居も できへんようなってしまうのと違いますか？
誰が何と言おうと
そんなものするつもりはない！
（千鳥）あなたたちだけで 勝手になさい。
それて…。
そこまで言うんなら→
どれだけ客が呼べるのかお手並み拝見さしてもらうわ。
（一同）ありがとうございます！
ありがとうございます。
待てや！
≪（猫の鳴き声）
待て コラ！
≪（猫の鳴き声）
（真理）それで やることになったがけ？
「正チャンの冒険」。
うん ほんでな…→
うちも出ることになったんだす。
（平田）ほんまか！？
セリフも ちゃんとありますねん。
（純子）すごいやんか。
おめでとぉ。
今度こそぉ 本当の役者になったがやねぇ。
おおきに。
（京子）ほいで どないな役なんよ？
うちの役は これ。
ネズミけ？
「モウ大丈夫デチュウ」。
これだけ？
何で ネズミが しゃべっとんねん。
あいそんないねぇ。
せめて ネズミ１か２なら よかったがに。
そういう問題やないやろ。
なあ 何でネズミが しゃべっとんねんて。
何だす みんなして！
そうだす ネズミだす。１でも２でもない ネズミ３だす。
ネズミちゃんでも ネズミ君でもない
ネズミ３や！
しゃべりまちゅねん ネズミ３は。
文句あります！？
（真理）千代ちゃん 落ち着かれま。
（洋子）これ 正チャンが山賊にさらわれたお姫様 助けに行くいうお話やろ。
ネズミも正チャン助ける
大事な役やないの。
さすが洋子さん よう分かってはるわ。
…って 何で そないに詳しいに？何でて それは…。
（宮元）やかましな もう。
進太郎が起きてしもたやないか。
店長 お子さんいてはったんだすか？
僕の子やないわ。 洋子の子や。
あっ 何や 洋子さんの…。
えっ！
進太郎 帰るえ。 荷物取ってき。
（進太郎）はい。よし。
≪（猫の鳴き声）
≪（猫の鳴き声）
（洋子）あの子 常は別れた夫と
広島で暮らしてんのやけど→
向こうが しばらく
仕事で地方に行かなあかんらしゅうて→
ちょっとの間
こっちで預かることなったんや。
そうだすか。
たまにしか会われへんさかいなかなか懐いてくれへん。
まあ 子供より仕事取ってしもた
母親やさかい しゃあないけどな。
あっ 「正チャンの冒険」や！
この子 好きやねん。
ほんで 洋子さん よう知ってはんのやぁ。