佐久間の家臣が焼けた城跡をくまなく探したが→
破片も見つからなかったという。
恐らく 松永が戦の前に→
どこかに預けたのではないかと
思うておるのじゃ。
はは…。
そなたは 松永とは親しい間柄であった。
松永が誰に預けたのか
聞いているのではないかと思うたのじゃ。
そのようなことは…。
聞いておらぬか?
わしは 松永が上杉方と
ひそかに通じておるとの知らせを受けて→
大和と京に忍びを配して
松永を見張らせておいたのじゃ。
松永は天王寺の陣を抜け出し 京へ入り→
下京の伊呂波太夫の小屋へ行った。
そこで 何人かの親しい者と会うた。
その中に そなたがいたというのだ。
まことか?
その小屋へは参りました。
松永と何の話をした?
信長様から離れるなと…→
上杉方に寝返らぬようにと…。
それだけか?
あとは…。
昔話を少々…。
平蜘蛛の話は出なかったのだな?
うむ… そうか。
それは残念だな。
わしは松永を死なせたくはなかった。
いずれ 畿内のしかるべき国を与えようと
思うていたのじゃ。
何故 裏切る?
帰蝶も そうじゃ。
帝も そうじゃ。
わしは 帝がお喜びになると思うてあの蘭奢待を差し上げたのじゃ。
だが 帝は
あまりお喜びでなかったという。
何故じゃ! 何故 皆 わしに背を向ける?
これは たわけの愚痴じゃな。
さて もう一つはの…
そなたの娘 たまの件じゃ。
は?
嫁入り先だが→
細川藤孝の嫡男で 忠興という者がいる。
存じておるな。
はっ。
あの忠興へ嫁がせよ。
たまを!?
話は以上じゃ。
帰って 丹波に取りかかるがよい。
わしは 本願寺をやる。長島一揆の時のように→
門徒どもを
皆 焼き殺してやるつもりじゃ。
では 御免。
♪♪~
十兵衛が 初めて わしに嘘をついたぞ。
このわしに 嘘をつきおった。十兵衛が!
羽柴秀吉は いずこにいる!
≪(羽柴秀吉)はっ!
秀吉 そちの調べたことに間違いはないな。
(秀吉)この秀吉に抜かりはござりませぬ。
♪♪~
たま。
(たま)お帰りなされませ。
お出迎えもせず 申し訳ございませぬ。→
父上が いつお帰りになるか
誰も教えてくれぬのです。
いや よい よい。 しかし すごい臭いだの。
これも 駒殿伝授の煎じ薬か。はい。
父上が戦で疲れてお帰りの時に
必ずのんで頂くようにと…→
秘伝のお薬でございます。
少しお待ち下さい。
どうぞ。
うむ。
あ…。
あ~…。
(藤田伝吾)殿
ただいま 伊呂波太夫が参りましたが。
(太夫)松永様とのお約束どおり
平蜘蛛の釜を持参いたしました。
(太夫)お受け取り下さいませ。
♪♪~
いかがなされました?
信長様に この平蜘蛛の行方を問われ→
知っていると…→
ここまで言いかけたが…。
言えなかった。
言えば これが信長様の手に落ちわしは楽になれた。
しかし なぜか言えなかった。
そうか… これは罠だ。
まんまと引っ掛かってしもうた。
これは松永久秀の罠じゃ。
(笑い声)
松永様の笑い声が聞こえておるぞ。
フフフ…
どうだ 十兵衛 恐れ入ったかと…。
ハハハ…。 ハハハハハ…!