2019/12/20(金) 22:00〜22:45 ドキュランドへようこそ・選「輪廻(りんね)の少年」[二][字]

♪♪~(ドゥンチェン)
≪(読経)
♪♪~
♪♪~
前世ではチベットのカムに住んでいました。
今でも覚えています。
現世ではインドのラダックで生まれ変わり→
パドマ・アンドゥと呼ばれています。
♪♪~
♪♪~
僕はリンポチェだけど 悩みはあります。
友達より背が低いので→
遊んでいるときにうじうじ しちゃうんです。
(爆竹の音)
(爆竹の音)
(爆竹の音)
(ツェスダン)リンポチェは 男の子だけど→
弱虫なところがあります。
サッカーをしているときにボールが飛んでくると→
ヘディングする代わりに
その場に しゃがみ込んじゃうんです。
(笑い声)
ゴール!
(リグシン)私は平凡な療法師です。
高い教育は受けていません。
まさか 自分が
偉大な僧侶の生まれ変わりに→
お仕えすることになろうとは
想像もしていませんでした。
ありがたい巡り合わせ カルマであり


大変な名誉です。
(ヤンドル)この子をみごもって
初めて病院へ行ったときのことです。→
お医者さんから
産むのは危険だと言われたんです。→
子どもは諦めて
中絶するよう勧められました。→
でも 私は たとえ自分が
命を落とすことになっても→
この子は 絶対に産むと決めたんです。
(笑い声)
(鈴の音)
5歳のときにアンドゥは私の元へやって来ました。
慣れない環境に置かれても→
アンドゥは ぐずりもせずよく眠りました。
僧院の生活を
ごく自然に受け入れていたんです。
この少年は 奇妙な話を始めました。
「チベットのカムに住んでいた」と言うんです。
これは ただ事ではありません。
私は この子の将来について位の高い僧侶たちに助言を求めました。
(アタク)彼は
チベットの高僧の生まれ変わりです。→
私たち2人は 前世で暮らしたチベットで
心の友でした。
親友だったんです。
前世での結び付きによって私たちは ここ ラダックで→
再び 巡り会うことになりました。→
現実とは思えない夢のような式典でした。
あれから 私たちの人生は


大きく変わったんです。→
リンポチェは
ツォグチェン・クルメト・ナトン・ワンボ→
という新しい名前をもらいました。
♪♪~(演奏)
弟子たちが チベットのカムから
迎えに来ることになっているのに→
まだ 誰も来ないんです。
迎えが来たら カムへ行けるのに。
♪♪~
時々 夢に見るんです。
チベットの僧院や弟子たちのことを。
あの子を カムの僧院へ連れていくことができたら→
どんなにいいだろうかと思います。
でも チベットは遠いですし国境は中国に封鎖されています。
♪♪~
一人の僧侶がカムから来たことがあるのですが→
彼は こう言ったんです。
「うちの村には位の高い僧侶がいた。→
でも 生まれ変わりが
どこにいるのか分からない」と。
転生したリンポチェが
ここにいることを知った僧侶は→
「カムの僧院に その話を伝える」と
言い残し 戻っていきました。
♪♪~
♪♪~(歌声)
(ドゥンチェンの音)
(ドゥンチェンの音)
(ドゥンチェンの音)

♪♪~(演奏)
リンポチェは この僧院に残ることが
できなくなりました。
ラダックには
身を寄せる所がありません。
まるで孤児です。
♪♪~
打ちひしがれたリンポチェを見ていると
心が引き裂かれる思いです。
♪♪~