2020/11/30(月) 08:00〜08:15 【連続テレビ小説】おちょやん [新](1)「うちは、かわいそやない」[解][字]

(柝の音とチンドン太鼓の音)
(黒衣)東西東西!
(千代)全国のお茶の間の皆々様方→
本日は かくも賑々しくお集まりいただき
恐悦至極に存じまする。
今回の物語は
僅か9つで親に捨てられ→
何もかもなくした 私 千代が→
大阪は道頓堀を舞台に やがて大阪のお母さんとまで呼ばれるほどの→
大女優になるまでの一代記に…。
(テルヲ)あかん あかん!全部言うたら あかんて!
ほな ここで ほかの面々からも
ひと言ご挨拶を。
まずは 小さい頃の千代ちゃん。
千代でございます。
最初の2週間だけやけど
一所懸命やらしてもらいます。
天海天海と申します。
あっ 本名ちゃいます。親から継いだ芸名ですわ。
いや 別に誰もツッコんでへんて。
岡田シズでございます。
私は 芝居茶屋の女将という
役どころでございます。
この芝居茶屋と申しますのは…。
長い長い! 番組終わってまうわ お前!
まあ まあ まあ。
お父ちゃん!
(テルヲ)大体 お前 誰やねん。
見てのとおり 黒衣です。
はっ?


ご存じない?
お芝居で 役者さんらの
お手伝いさしてもろてんの。
つまり わては この物語の黒衣ですわ。
そこにおってもおらんいうことになってましてな。
(テルヲ)いや おるやないけ。
おらん。
おらん。
(テルヲ)どね見ても おるて。いてません。
どね見ても おるて。
いてません。 見えません。
いやいや 待て!
お父ちゃん!
(騒ぐ声)
…というわけで 私ども一同→
皆様方に 涙あり 笑いありの
楽しいひとときをお届けできるよう→
誠心誠意 努めてまいります。
今後とも ごひいき お引き立てのほど…→
隅から隅まで ずずずい~っと…。
こっちや!
座れ!
願い上げ 奉りまする~!
あっ 申し遅れました。
タイトルは 「おちょやん」だす。
♪♪「オレンジのクレヨンで
描いた太陽だけじゃ」
♪♪「まだ何か足りない気がした」
♪♪「涙色したブルー こぼれて ひろがって」
♪♪「ほら いつも通りの空」


♪♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪♪「転んでも ただでは起きない」
♪♪「そう 強くなれる」
♪♪「かさぶたが消えたなら」
♪♪「聞いてくれるといいな」
♪♪「泣き笑いのエピソードを」
♪♪~
時は大正5年。
大阪・南河内の ちいちゃい村で
千代ちゃんは生まれ育ちました。
河内っちゅうのは この辺りの…。
あっ あら…あっ すんません 黒衣です。
そういうわけで
これから この物語の司会進行を→
務めさしていただきます。
(鶏の鳴き声)
≪ヨシヲ そっち行っこったで!
恨みなや。うちらも生きてかなあかんさけな。
ありひんやん。
今まで ようけ 餌やったやろ。
今度は われが うちらを食べさす番や!
≪(鶏の鳴き声)
(悲鳴)
酒あれへんのか 酒…。
おお 千代 酒や酒。
はあ? あるか そねなもん。
(テルヲ)何で あれぃんね。

それより こいつ 卵もう産みよれぃんさけ町で売ってきて。
われ そいつ捕まえる時 わいの流星丸に
何もしやぃんかったやろな!
この流星丸は観賞用の鶏で
びっくりするくらいの金額で→
取り引きされることもあるっちゅう
話ですわ。
ほんまかいな。
はあ? お父ちゃん…流星丸と うちらと どっちが大事やねん!
そねなもん決まっとるやないけ 流星丸や。