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スリー ツー ワン…。
イギリスに次いで アメリカでも始まった新型コロナウイルスのワクチン接種。
(拍手と歓声)
一方 日本では…。
今 治療薬の研究が
急ピッチで進められています。
目指すのは 新型コロナを抑え込む
特効薬の開発です。
実用化に向けた動きも始まりました。
ところが…。
今回 研究の最前線から見えてきたのは→
日本の科学が土台から揺らいでいる現実です。
日本の厳しい状況を象徴するのが
科学の成果を示す論文の数です。
新型コロナ関連で
主要な論文を数多く発表しているのは→
アメリカ イギリス 中国。
日本はというと 16位。
科学の現場に何が起きているのか。
取材を進めると日本の科学政策に深く関わった→
一人の重要人物にたどりつきました。
20年前科学者から文部大臣に起用された→
有馬朗人さんです。
12月初めに 90歳で亡くなる直前私たちはインタビューを行っていました。
新型コロナウイルスが突きつけた
さまざまな課題を検証する→
「シリーズ パンデミック 激動の世界」。
社会を救う科学の力が期待されるこの時になぜ日本は真価を発揮できないのか。
パンデミックが浮き彫りにした
科学立国日本の課題と→
再生への道を探ります。
世界がワクチンのニュースで沸く中→
日本でも それと競うように
国産ワクチンの開発が進められています。
今 国内で 実用化に向け
トップを走っているワクチンの製造現場。
初めてカメラが入りました。
次々と流れてくる小さな瓶。
これが 日本が独自に開発を進めている
新型コロナウイルスのワクチンです。
その研究開発は
今 どのような状況にあるのでしょうか。
失礼します。
研究チームの中心人物大阪大学の中神啓徳さんを訪ねました。
中神さんは 3月下旬から
創薬ベンチャーと共同で→
ワクチンの開発に取りかかりました。
今回 国は日本もワクチン開発が必要だとして→
主な5つの開発チームに対し→
485億円の補助金を提供。
中神さんたちのチームは そのうち
110億円あまりの支援を受けました。
開発に挑んでいるのは
遺伝子ワクチンと呼ばれる→
全く新しいタイプのワクチンです。
遺伝子ワクチンはウイルスそのものではなく→
遺伝子の情報だけを取り出して作ります。
これを接種すると免疫を獲得できる仕組みです。
遺伝子は人工的に増やしやすいため→
短期間で大量にワクチンを作ることができるメリットがあります。
世界で いち早く実用化を果たした
アメリカの2つのワクチンも→
遺伝子ワクチンの一種。
まさに 今回の開発競争の主戦場です。
中神さんたちは 今回
欧米に負けない開発スピードを目指して→
10を超える研究機関や企業と連携。
手間のかかる動物実験の評価や試作ワクチンの製造などを→
それぞれの専門チームが分担し
時間短縮を図りました。
そのかいあって
12月初旬 500人を対象に→
ワクチンの有効性や
安全性を確かめる試験にこぎ着けました。
これまでにない異例の速さです。
ところがアメリカの遺伝子ワクチンの開発は→
中神さんたちのスピードを
はるかに上回っていました。
12月には緊急使用の許可が出され→
接種が始まったのです。
なぜ アメリカは
今回 これほどのスピードで→
ワクチンを実用化できたのか。
背景には 感染拡大が止まらず死者数が急増する中→
国を挙げて取り組んだ
緊急対策がありました。
…と明言しました。
目標の達成を可能にしたのは→
司令塔の役割を果たす
国の組織の存在でした。
アメリカの医学研究を束ねる
国立衛生研究所 通称 NIHです。
有望なワクチンの開発チームを
NIHが選び出し→
各チームに
最大で2,000億円を超える開発資金を提供。
そのかわり 実験のデータなどは→
NIHに提出するよう求めました。
それを NIHの専門家が比較検討し→