私の名前を呼んでくれる。
そのことで
コーヒーもジュースも→
食パンもサラダも
何一つ分からなくても→
楽しく朝食が取れる
。
『
はい 食パン食べてね』。
『
はい次は 少しコーヒー飲もうね』。
『
はい サラダも食べようね』。
だから
薫ちゃんの世話も楽しくやれる。
でも
私の名前が→
最後の1枚の記憶の葉っぱが
なくなったらと思うと→
とても悲しいが→
その時は その落ちてしまった葉っぱを探して→
大事に
しまって→
薫ちゃんと生きて行こうと思う
」>
おはよう
おはよう おはよう。
起きますか?
<金森さん夫婦の一日は→
朝6時30分に始まります>
大丈夫? フフフフ。
はい
いいよ こっち来て。(薫さん) よいしょ。
はい
はい~ おはよう おはよう。
おはよう
おはよう。
<まずは
おむつの交換です>
お尻
拭くんやけど。
はいはいはい…
替えましょう。
ダメなんですよ
ベッドのすぐ横に…。
もう
そこで しゃがんでしたりなんかするけん。
紙おむつに変えても
ダメなんですよね。
紙おむついうのは
自分がしとるおむつと一緒やけん。
やっぱり
その紙おむつを脱いでそこで するんですよ。
で
その時には→
どうしようもないがな
。
ほんで
トイレに行ってもトイレの横でしたりとか→
トイレ中が
もう水浸しになっとる時があるんよな。
そんな時は
もう…。
うわ~!とか
。
<
「薫ちゃんは 私の妻です。
今朝
早く トイレの失敗で→
私が
つい我慢できなくて→
声高に叱ったりして
気分が落ち込んだ。
一日ずっと
『ごめんね 薫ちゃん』と→
謝っている自分がいる
。
笑って
お散歩してくれる薫ちゃん。
よかった
今朝のことは覚えていない。
忘れてくれている
。
自己嫌悪の気持ちが
少し和らいだ」>
<
「妻の薫ちゃんが認知症と診断されてから→
10年近くになる
。
交際し始めて
そして 結婚して→
50年の2人の思い出は
もう ほとんど→
彼女の記憶の中には残っていない
。
私のこと
『優しいね本当に優しいね』と言ってくれる。
そんな時
『そんなに優しい人は誰でしょう?』と言うと→
『