その全てが南硫黄島で生まれたものだという。
南硫黄島→
まさに 知られざる生き物の楽園のようだ。
けん騒の夜が明けた。
おはようございます。おはようございます。
眠れましたか?
(笑い声)
それは なぜ?
(一同)え~!
♪♪~
海の真ん中で生まれた火山島に→
どうやって生き物は
やって来るのでしょうか。
それは 3つのWの力だと
いわれています。
1つ目は…
植物の種や胞子 昆虫などが風に乗ってやって来ます。
2つ目は Wave 波。
流木などに乗った生き物が→
海流に乗って
たどりつきます。
そして 最後が Wing。
鳥の翼です。
鳥の体にくっついたり→
フンの中に紛れたりして運ばれる事があるのです。
南硫黄島は
誕生から およそ3万年。
地球の歴史の中では
生まれたての島です。
大海原に囲まれ→
天敵やライバルが少ない空白地帯。
そこに やって来た生き物は→
どのように進化するのか?
研究には絶好の
いわば 進化の実験場なのです。
しかも 南硫黄島には
もう一つ 面白い特徴があります。
それは
標高によって気候が変わる事。
低い場所は 熱帯から亜熱帯。
頂上付近は平均気温が6度ほど低い 温帯。
そして その中間には→
雲霧帯と呼ばれる珍しい気候があります。
海からの湿った風で→
年間を通して深い霧に覆われています。
特殊な環境の島で
生き物は どう進化するのか?
いよいよ調査が始まります。
ベースキャンプを出発し雲霧帯へ。
巨大な葉を持つ植物が現れた。
普通なら 木の枝に根づくという この植物。
岩場で巨大化している。
これムニンシラガゴケっていう→
小笠原の固有種なんですよ。
たっぷりと水分を含み大きく育ったコケ玉。
この状態。
霧の水分が育む特殊な森。 雲霧林だ。
調査開始。
まず 生き物を呼び寄せるわなを仕掛ける。
花の蜜に集まる生物を
観察するため カメラもセット。
…と その時。
お~ かっこいい!
何かが 空を急降下していく。
悠然と旋回する姿。 鳥?
いや 鳥じゃない。 コウモリだ。
翼を広げると 40cmにもなる巨大なコウモリが→
真っ昼間から飛んでいたのだ。
このコウモリは父島などにもいるが→
飛ぶ時は バタバタと羽ばたく。
もちろん 夜行性だ。
その常識が この島では通じない。
ほ乳類担当の鈴木が捕まえた。
まだ若いコウモリ。
口の中を見てみると…。
歯が ボロボロになっていた。
こちらは 父島のコウモリ。
立派なキバだ。
主食は果物だという。
それと比べ
歯がすり減り 黒ずんでいる。
草の渋のようなものだという。
生態系が未熟な この島では果物が非常に少ない。
草を食べて なんとか
食いつないでいるらしい。
乏しい食べ物を探すため→
昼も夜も一日中 飛び回っているのだ。
羽ばたきの少ない この飛び方は→
エネルギーを節約するため独自に編み出したと考えられる。
このまま進化すれば→
これまでのコウモリとは全く違う新種が→
誕生する事だろう。
すげえ。
わなに 何かが掛かった。
登る途中で見つけた あのカニだ。
なんと 標高600mを超える
雲霧林にまで→
大量のカニが登ってきていた。
一体 何のために登ってくるのか?
その答えは すぐに分かった。