あっ これこれ!
え? 卵? ズームします。
あっ ありました。 卵。間違いなく ここが巣です。
やりました。 大発見です。
すごい。
絶滅危惧種 アカアシカツオドリは
人が決して近づけない→
南硫黄島の崖で
ひそかに 命をつないでいました。
また一つ この島にしかないものが
見つかりました。
山では 千葉たちの
山頂アタックが始まっていた。
登るにつれ現れたのは
巨大なシダ。
高さ5m
まるで 恐竜時代のようだ。
ついに 雲霧林を抜けた。
温帯のエリアに入っていく。
遠く離れた本州に近い気候だ。
出発から4時間。
突如 抜けるような青空が現れた。
着いた~。お疲れさまで~す。
おお~!
山頂?
登頂! ああ…。
いや 最高ですよこれ。
見渡す限りの大海原。
南硫黄島 山頂だ。
島の上部を覆っていた雲が
不意に消え→
山頂は
めったにない晴天に恵まれた。
皆が まだ
登頂の余韻を楽しんでいる時。
神秘の生き物
コダマを探す千葉が→
茂みに どんどん分け入っていく。
見失ってしまった。
一体 どこへ行ったのか
と思っていると…。
何やら うれしそうに戻ってきた。
え? まさか これ?
大きさ 僅か2mm。
透き通った貝殻を背負ってよちよち歩くカタツムリ。
そう これぞ コダマこと…
千葉が 進化の謎を解くカギと期待する生き物だ。
殻の入り口に 外敵の侵入を防ぐ
特徴的な3本のキバを持っている。
何だ コダマってこんなものか→
と思ったら大間違いだ。
実は カタツムリは ダーウィンが
進化論を唱えた当時から→
研究に欠かせない生き物。
最大の理由はトレードマークの貝殻です。
殻の巻き方や模様を見れば
遺伝子の変化が一目で分かります。
また 活動範囲が狭く
世代交代も早いため→
変化を観察するには
うってつけなのです。
もう一つ
千葉さんが コダマに注目する→
重大な理由があります。
それは コダマのルーツです。
10年前の調査で
コダマを発見した千葉さんは→
ほかの場所にも コダマがいないか
探し回りました。
海流に乗ってきたとすれば
沖縄か台湾。
ここでは 見つかりませんでした。
ところが別の調査で訪れた ある場所で→
偶然 発見したのです。
その場所はなんと 遠く離れた北海道。
湿った木の幹だけに生息する→
よく似たカタツムリの遺伝子を調べたところ→
コダマの先祖だと
分かったのです。
北海道から はるか
2,000kmも離れた南硫黄島へ。
海鳥の体にくっついて
運ばれてきたと考えられます。
大きさ 僅か2mmのコダマにとって
標高によって気候が変わる→
南硫黄島は いわば 未知の新大陸。
この先 一体 何が起きるのか?
まるで 生き物が地球上に広がった
過程を再現するかのような→
進化の大実験が
始まっているのです。
千葉は 今回の調査で
ある狙いを定めていた。
前回 コダマを見つけたのは
頂上付近のシダの林。
北海道の林に近い
湿った環境だった。
そこで 今回は
コダマが 新たな環境に→
進出していないかを調べる。