銚子川の源流部へと向かいました。
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紀伊半島の中央に位置する大台ヶ原です。
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この一帯は年間降水量 5,000ミリを超すこともある→
全国でも有数の雨の多い地域。
膨大な雨は地表の汚れや土砂を洗い流し→
濁った水となって 谷底へと向かいます。
この濁った水がなぜか きれいな水に生まれ変わるのです。
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銚子川流域の地質を研究している近藤玲介さんです。
あ ここ 分かりやすいですね。
山の斜面から 透明な水が湧き出ている場所を見つけました。
石と石の間から
水が ジャ~ジャ~出ているわけですが…
こんなふうに 濁った水を ろ過する
フィルターのような地質が→
銚子川の上流に広がっているといいます。
これが その地形。
銚子川の上流を
11キロにわたって囲む深い谷…
V字谷を形づくるのは
地中のマグマが冷えてできた…
谷の上の切り立った絶壁は→
巨大な花こう岩の塊が連なってできています。
一方 谷底近くは全く違う様子。
細かく割れた岩が 積み重なっています。
このV字谷が
巨大なフィルターになる仕組みです。
まず そびえ立つ花こう岩の岩盤が
風雨にさらされ→
少しずつ ひび割れ
かけらが谷底に落ちていきます。
岩のかけらは 谷底の斜面に
長い年月をかけ 積み重なっていきます。
そこへ 濁った雨水が流れ込むと→
細かい岩や砂の間を ゆっくり流れ→
汚れが ろ過されます。
なんと およそ8年もの歳月をかけ→
驚くほど透き通った水に変わって→
銚子川に注ぐのです。
V字谷の巨大フィルターが
水を ろ過する上流部。
実は 中流より川下のエリアにも→
水を きれいにする別の仕組みがありました。
この河原 よく見ると→
至る所から透明な湧き水が噴き出ています。
これは…
一度 地下に染み込んだ川の水が地中を流れ→
別の場所に湧き出したものです。
伏流水も 地下の石や砂→
天然のフィルターによって
汚れが ろ過されています。
中流から川下では こうして
透き通った水が保たれていたのです。
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上流の深いふち。
強い日ざしが
水の美しさを際立たせる季節です。
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川底まで届いた光が水中の世界を青く輝かせています。
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岩に へばりついているちょっとユーモラスな魚を見つけました。
実は 皆さん 一度 出会っている魚ですよ。
分かりますか?
春 河口付近で逆立ちをしていた→
あのボウズハゼです。
ここは 河口から9キロ。
川底を はい続けて長い道のりをやって来たんです。
全長10センチと 随分大きくなりました。
岩に吸い付いてコケを おいしそうに食べています。
おっと! ボウズハゼに
体当りしてきた魚がいました。
アユです。
こちらも 春 ゆらゆら帯でお目にかかりましたよね。
大きさは 20センチ。
川を遡るうちに成長しました。
体当りをした訳は 食べ物を守るため。
そう アユも コケが大好きなんです。
いいコケが生える場所を縄張りにして→
侵入者を容赦なく攻撃します。
夏の間に たくさん食べて
秋の産卵に備えているのです。
銚子川の河口付近。
ほかの川ではまず お目にかかれない魚が→
この辺りにいるはず。
これかな? 100匹以上の大きな群れ。
でも よく見ると これもアユ。
あれ? みんな 上流に行ったはずなのに。
実は これ 川を遡らず
河口付近で大きくなる→
銚子川独特のアユなんです。
ずっと海の近くで暮らすので地元では シオアユと呼ばれています。
上流のアユより少し小さく 15センチほど。
それにしても なぜ シオアユは→
河口付近に
とどまったままなのでしょうか。
実は そこにも
銚子川の透明な水が関係していました。
川底まで 日光が十分に届く銚子川では→