水は欠かせないものでした。
地上絵は
神々に雨を降らせてくれるよう→
祈願するために用いられたのでしょう。
ナスカのカワチ遺跡では 古代の人々の生活や文化についての手がかりが→
次々に発見されています。
(オレフィチ)この場所から新たに神へのささげものが見つかりました。→
発見されたのは布で
丁寧に剥がしたところです。
こんなに小さな子供用の衣服が
見つかったのは これが初めてです。→
まだ幼い子供ですね。
恐らく重要な人物だったのでしょう。→
この例からも布が ナスカの人々にとって
貴重な物であったことが分かります。→
とりわけ子供の墓に葬るのは
特別な場合でしょう。→
墓に埋葬された布は
神々へのささげものでした。
布には 地上絵と共通する絵柄が
ししゅうされています。
それはナスカの人々が 信仰を
大切にしていたことを示すものです。
この巨大な地上絵は
アンデス地方の伝統的な機織り機で→
渦巻きは織り糸の玉
細い四角形は機織りの棒を表します。
ナスカ時代や それに先行する
パラカス時代の布製品の→
ユニークさと複雑さは
世界中の研究者を魅了しています。
パリ ケ・ブランリ美術館の研究所で
考古学者のクリストフ・ムルラは→
パラカスとナスカの布が どのようにして
織られているかを研究しています。
これまでの光学顕微鏡の限界を打ち破る→
3Dデジタル顕微鏡を用いて布を観察します。
3Dデジタル顕微鏡を用いて
布の奥深くの→
微細な部分までを映し出します。→
これなら使われている繊維の種類や→
複雑で多様な染料も
突き止めることができます。
パラカスの布の多くは アルパカや
リャマなどの毛で作られています。
その最も魅力的な特徴は多彩な色です。
このように青 黄 赤 緑などの色が用いられています。→
1枚の布に
250以上の色合いが確認されました。
日光と湿気から守られたため
ししゅうの鮮やかな色彩は→
2,000年以上たっても
奇跡的に保たれています。
ナスカのカワチ遺跡で
新たに すばらしい発見がありました。
ナスカの人々が葬った
布に包まれたミイラ 「ファルド」です。
考古学者 ジュゼッペ・オレフィチの
指示の下で→
チームは
ミイラを取り出そうとしています。
気をつけて。
慎重に。
ゆっくりと… そう。
ゆっくりでいい。 研究室へ運んで。
葬られていたのは誰なのでしょうか。
神官でしょうか。それとも巡礼者でしょうか。
人類学者と織物の専門家が協力して
その正体を解明しようとしています。
それでいいわ。 OK。
うずくまる姿勢で座っていますね。
腕が見えないのは 胸の前にあって
包み込まれているからでしょう。
右足は今も股関節の骨に はまっていて
関節の部分も ちゃんと見えます。
関節の上に 植物の繊維で
できたロープがあります。
遺骸をうずくまった姿勢にしたあと
上から縛るのに使ったんでしょう。
頭部は半分 布で覆われて
うつむいていますが→
最初は こうではなく膝の上に
乗せられていたんだと思います。
死後 永遠の命を得るために パラカスと
ナスカの人々は ファルドを作りました。
なきがらをうずくまらせて しっかりと
縛り 貴重な布で幾重にも包みました。
ファルドの儀式は
子供に対しても行われました。
高貴な人物のなきがらには 30枚近い布が
かぶせられていた例もあります。
なきがらを包む布の間には 衣服や
トウモロコシなどが挟み込まれ→
他にも さまざまな ささげものが
埋葬されました。
こうした独特の葬送儀礼は パラカスから
ナスカに受け継がれました。
考古学者で人類学者の
クリストフ・ムルラが→
特別な調査のために