(江藤)太政大臣!
いや…。
分かった!岩倉様!
西郷!
望みどおり 朝鮮国へ行ってこい!
<こうして 朝鮮国使節派遣は可決され→
後日 太政大臣 三条が天子様へ奏上するのみとなったのです>
岩倉様!
しゃあないやないか。
ああせな… 2人とも政府を去らな
あかんやかったやないかい!
もう我らに居場所などありません。
あの場は ああするしかなかったやないか!
岩倉様が あそこで粘っていれば
朝鮮国派遣を延期し→
いくらでも挽回する手だてはあった!
こうなってしまっては→
私のいる意味はありません。
辞職させて頂きます。大久保!
どうか 戦の準備でもなされますよう。
えっ 戦? 大久保 それは困る。困る困る!→
困る困る。 あ~っ 大久保 困る困る!
「困る困る」って 困るばっかりやないか!
ほんまに…
もう まろも辞めさせてもらうわ。
岩倉… あっ 大久保! 待ちなはれ!
まろを一人にせんといてくれ。
あっ う…!
(倒れる音)
三条はん! 三条はん!
あっ あっ! 三条… 三条はん。
しっかりしなはれ 三条はん!
(うめき声)
誰か 誰か~! 誰か~!
三条様!
(うめき声)
(小兵衛)ついに決まりもしたか。また一人で敵地に乗り込むのでごわすか。
朝鮮は敵地ではなか。
兄さぁに任せておけば ないも心配はなか。
(従道)笑っちょっ場合か!
今度は朝鮮国じゃ。
おはんまで一蔵どんのようなこつを
言わんでくいやい。んにゃ おいは→
思いとどまってほしかち思っちょっ。
いま一度 朝鮮国の内情を調べてからの方がよか。
んにゃ もう そげな時はなか。
一刻も はよ行かんにゃならん。
信吾兄さぁ?
兄さぁ… 万が一っちゅうこつがある。
こいだけは持っていってくいやんせ。
あいがとな。(従道)兄さぁ…。
おいは 話し合いに行っとじゃ。
こげなもんは不要じゃ。
<更に鹿児島にも
朝鮮国使節の知らせは届いておりました>
(雪篷)「ご報知申し上げ候 熊吉
雪篷先生へ」。
(糸)旦那さぁが朝鮮国に?
うん。
(園)菊次郎さぁたちが
メリケンに行ったち思ったら→
今度は 義兄上まで。
(寅太郎)雪篷先生!ああ。朝鮮国っちゅうのは→
どこにあっとですか?
あ? う~ん…→
ここじゃ。 こん出っ張っちょっとこじゃ。
何やら 短刀のような国ですね。
短刀? 物騒なことを言いおる。 ハハハ。
<そして 10月18日>
逃げんさったようですな
岩倉右大臣と大久保参議は。
(板垣)まさか そろいもそろうて
床に伏しちゅうとは…。 フン。→
アホらしいにも程がある。
(後藤)どの面下げて ここに来たらえいがか分からん お二人の気持ちは→
痛いほど よう分かる。
そいに 今となっては→
あんお二人がおっても おらんでもですな
西郷参議。
ああ…。 あとは 三条様を通じ→
天子様に使節派遣のお許しを賜るだけじゃが。
(大隈)まさか 三条様まで
仮病っちゅうことは。いや そいはなか。
だいかと違うて 出席だけは律儀やけんな。
(笑い声)
(大木)おお お噂ばすっぎ。
御一同! 三条はんが お倒れになった。
そやから 今日の閣議は中止や。
あいにくでございますがとても今は お取り次ぎはいたしかねます。
何とぞ ご容赦下さいませ。
いや そうでごわすか。
此度は 度重なる閣議で
ご心労をおかけして…→
何と おわびしてよいか。
まっこて 申し訳ございもはん。
三条様は
政府にとって扇の要でございもす。
どうか お体を ごゆっくりお休め下さいと
お伝えして下さい。
では。