うにに うにに うにに~!
彼は人と会話する事ができません。
自分の衝動を抑える事もできません。
重度の自閉症である
東田直樹さん 24歳。
しかし 東田さんは
文字盤を前にした途端→
話せるようになります。
自閉症者が高い表現力を持つのは→
世界的にも 極めて まれな事です。
2年前 私たちは→
東田さんを取材した
ドキュメンタリーを制作しました。
東田さんの言葉を通して→
これまで闇に包まれていた自閉症の世界を明らかにし→
大きな反響を呼びました。
終わり!
物語の始まりは 東田さんのエッセー…
この本を読んだ 多くの人が→
初めて
自閉症者の心の内を知りました。
このエッセーは 多くの言語に翻訳され
30か国以上で出版されました。
そして 自閉症の子どもを持つ
多くの人に 希望を与えました。
子どもが何を考えているか
分からず→
途方に暮れていた人たちが
初めて 自分の子どもに備わった→
愛情や知性を
信じられるようになったのです。
それから2年
今 東田直樹さんは→
プロの作家として
歩み始めています。
自閉症である
自分の内面世界だけでなく→
障害 認知症 病気など→
さまざまなハンディキャップを抱える人々全体にも視野を広げ→
エッセーや小説を書いています。
苦しみを抱えた人が どう幸せを見つけていけばいいのか。
新たな挑戦を始めた→
一人の自閉症の作家の迷いと成長の物語です。
6月 私は東田直樹さんのもとを
2年ぶりに訪れた。
どうも こんにちは。
お久しぶりです。
直樹君 お久しぶりです。
直樹さんは エッセーや詩集など20冊の著作があり→
既に プロの作家として
身を立てている。
自閉症は 状況の変化に
うまく対応したり→
対人関係を築く事が難しい
脳の先天的な機能障害である。
軽度のものも含め→
自閉症スペクトラム障害と診断されるのは→
100人に1人といわれている。
自分の気持ちを コントロールするのが難しい直樹さんは→
母親が そばにいると
気持ちが落ち着く。
大変なのに ありがとうね。
はい。
この2年間で 直樹さんは
作家としての幅を広げた。
自閉症のみならず
ハンディキャップを抱える人全体が→
どう幸せを築けばいいのか
メッセージを発し続けている。
実は 私には 直樹さんを
再び取材したいという→
特別な理由があった。
私自身も 思わぬハンディキャップを抱えてしまったのだ。
直樹さん ちょっと最初に
伺いたいんですけど…
終わり!
前回の番組を制作した直後→
私は 胚細胞腫瘍という
がんと診断された。
既に肺や肝臓にも転移し→
5年生存率は5割以下と告げられた。
大量の抗がん剤と手術。
闘病は1年間続いた。
治療のかいがあって
がん細胞は死滅した。
しかし 再発の不安
治療の後遺症が残った。
そして 去年11月 職場復帰した。
突然 背負う事になったハンディキャップと→
私は どう生きていけばいいのか。
私は 直樹さんの姿を→
もう一度
見つめ直したいと思った。
直樹さんも 私の闘病について
詳しく知りたがっていた。
終わり!
なるほど。
いきなり ガツンとやられた気がした。
私は どこか借り物の言葉で語っていたのかもしれない。
作家として自信をつけてきた