育ての母のもとへと運びます。
人間が世話をした子供を
受け入れる動物は多くありません。
まして 子供が すり替えられても
育てるというのは まれです。
パンダを育ての母に預ける
という やり方は→
種の保存を図るうえで
画期的といえるでしょう。
リンビンを部屋に入れ
育ての母に引き合わせます。
メスは
まっすぐにリンビンのもとへ行き→
体を なめ始めました。
母親として子供を しっかりと抱き締めます。
一方 クァンクァンは
保育室で健康診断を受けます。
これから歯の検査です。
そろそろ 大臼歯と犬歯が生え始めるころ。
生後3か月のパンダには
24本の乳歯がありますが→
それらは次第に
42本の大人の歯に生え替わります。
念入りに検査されるのは
歯だけではありません。
人間と同じように→
パンダの赤ちゃんも鼻風邪をひきます。
自分で鼻をかむ事ができないので
飼育員に拭いてもらいます。
健康診断を終えたクァンクァンは→
自分より小さなパンダの赤ちゃんを熱心に眺めています。
つい この間まで
自分がいた保育器です。
出産に臨むミンミンは 難産のために→
ますます危険な状態に陥りつつあります。
陣痛が始まって3日が過ぎ
とっくに生まれてもよいころです。
それでも生まれないのは
おなかの赤ちゃんが→
死んでいる可能性も考えられます。
このセンターのパンダで→
陣痛が
3日間も続いた例はありません。
それでもミンミンは頑張り続けます。
そして ついに決定的瞬間が訪れました。
♪♪~
(赤ちゃんの鳴き声)
生まれたのは女の子でした。
生後すぐのパンダは とても小さく→
体はピンク色で まだ目は見えず→
体毛も ほとんどありません。
カンガルーなどの有袋類を除くと→
ジャイアントパンダほど母親の体格に比べて→
小さな赤ん坊を産む哺乳動物は
まれです。
しかし ミンミンの赤ちゃんの体重は
210グラム。
通常の新生児に比べて
ほぼ2倍の大きさでした。
これほど
大きな赤ちゃんの出産ですから→
難産だったのも無理はありません。
赤ちゃんは転がりながら→
脚を勢いよく伸ばしています。
元気な証拠です。
大きな試練を乗り越えましたが→
生まれて最初の10日間は最も危険が多い時期です。
赤ちゃんは早速
人工保育室に運ばれました。
保育器に入れて体を温めます。
しかし 長期間ここに置くわけにはいきません。
人間が干渉しすぎると ミンミンが→
子育てを放棄してしまうおそれがあるからです。
必要な検査を終えたら→
一刻も早く母親のもとに戻す必要があります。
生まれてから最初の1週間→
赤ちゃんは毎日8回 ミルクをもらいます。
難産で生まれたにもかかわらず
食欲は旺盛です。
センターでは
多くの赤ちゃんを育てるため→
必要なミルクの量も
相当なものになります。
そのためには パンダの
乳しぼりをしなくてはなりません。
パンダの母親からお乳をしぼり→
人工保育室にいる赤ちゃんに与えるのです。
しかし 警戒心の強い母親は→
容易に人間を近づけようとはしません。
新鮮な母乳を手に入れるには
工夫が必要です。
授乳中の母親に近づいて
ハチミツで気を引き→
その間に母乳を しぼり取ります。
赤ん坊のいるパンダに近づくのは極めて危険な行為です。
パンダは前足を1振りするだけで→
人間に大けがをさせるおそれがあります。
幸い 今はハチミツに夢中です。
この隙に お乳を しぼります。
パンダの母乳には