我々の力だけではこの危機を乗り越えることは困難です。→
中国人民解放軍を出動させ
敵と戦って下さい」。
しかし 毛沢東は キム・イルソンを
相手にせず→
スターリンに
参戦は難しいと弁明していた。
「慎重に検討した結果 軍事行動は→
厳しい結果を招くという結論に達しました。→
我が軍の装備は貧弱で
アメリカ軍に勝つ自信はありません。→
更に 中国が参戦すれば→
アメリカとの全面戦争に突入する危険があります。→
今は 我慢の時ではないでしょうか」。
ところが スターリンは毛沢東をとがめ参戦をけしかける。
いずれ 戦火は中国に及び→
日本の軍国主義が復活すると揺さぶりをかけた。
「戦争に巻き込まれることを
恐れるべきではない。→
戦争が不可避なら
むしろ 今 起こせばいいのだ。→
さもなければ 数年後には
日本がアメリカの同盟国として→
再び軍事力を持ち
中国大陸への足場を築くだろう」。
スターリンとのやり取りのあと
毛沢東は決断を下す。
現地の部隊に こう命じた。
明日 夜…
北朝鮮と中国をたきつけ
戦争を長期化させた スターリン。
その狙いは どこにあったのか。
このころ スターリンは モスクワに東ヨーロッパの指導者を集め→
こう呼びかけている。
無敵といわれていたアメリカは北朝鮮にさえ勝てない。
これでアメリカは 今後2~3年
アジアで足止めされるだろう。
これは 我々にとって好都合だ。
ヨーロッパにおける軍事基盤を固めるため→
このチャンスを有効に活かすべきだ。
アメリカをアジアにくぎづけにしヨーロッパでの覇権争いを→
有利に進めようとしていたのだ。
朝鮮戦争は 中国軍の人海戦術によって泥沼化していく。
マッカーサーは
ワシントンに緊急電報を送っていた。
「我々は これまで経験したことのない
戦争に直面している」。
戦争を 更に凄惨にしたのが
アメリカによる大規模な空爆だった。
今回 見つかったカラーフィルム。
映し出されていたのは中国の参戦後にエスカレートしていった→
無差別とも言える空爆の実態だった。
アメリカ空軍のパイロットだったロバート・ヴィージー氏 90歳。
72回の出撃で
数百発の爆弾を投下したという。
アメリカや韓国の軍の記録から
明らかになった空爆の全体像。
朝鮮半島には 太平洋戦争で
日本に投下された爆弾の→
実に4倍 66万9,000トンが→
投下されていたことが分かった。
爆撃作戦に部隊を送り込んだ
カーチス・ルメイ司令官。
かつて 東京大空襲など→
日本本土への爆撃を指揮した人物だ。
共産主義陣営を封じ込めるためには→
激しい空爆も正当化されたという。
朝鮮半島全土を一気に制圧するとして
戦争をしかけた キム・イルソン。
開戦から1年後には→
全く想像もしていなかった現実に直面していた。
苛烈な空爆で焦土と化した国土。
おびただしい市民の犠牲。
元北朝鮮軍兵士のヤン氏は→
空爆の恐怖を 今も忘れられないという。
更に アメリカは 朝鮮戦争で
原子爆弾の使用まで検討していた。
マッカーサーがまとめた
原爆投下の計画案。
ウラジオストク 北京 大連など
共産主義陣営の26か所を→
原爆投下の目標に挙げていた。
核保有国となった ソビエトとの→
全面戦争を恐れたトルーマン。
マッカーサーを解任し最終的に原爆の使用を思いとどまった。
戦況は 膠着状態に陥り→
アメリカの呼びかけで休戦に向けた交渉が始まった。
しかし ここでも
共産主義陣営の駆け引きが続いていた。
アメリカの空爆と核の脅威にさらされた
キム・イルソンは 休戦を望んでいた。
しかし 自らのメンツを重んじる毛沢東は
一切 譲歩しようとしなかった。
キム・イルソン同志よ!
休戦は 敗戦につながる一歩だ。
我々は 戦争のおかげで鍛えられ
アメリカ帝国主義と戦う→
貴重な経験を得ているではないか。
キム・イルソンはスターリンにも じか談判を試みたが→
取り合われることはなかった。