多少 まあね 若い時に比べれば少しね変形してきちゃう。
100年たてばね 大木だって
こぶが出来てくるのと おんなじですから。
まあ 美しい方ですよ。
(舌打ち)どうして…?(笑い声)
全く…。 嫌だ 先生…。
美しくないに決まってる…。まあ いや 美しい方だっていうの。
比べれば。 100歳の人の膝を
だ~っと並べれば 美しい方です。
ああ そう。
うん。それは ありがたいことです。
そういうことですね。
2か月後君子さんの体調に異変が起きました。
おはようございます。
え~っとね…
あ~ なるほどね。
それで あの~ つまり…
そういうことですね。
僕が考えるところでは…
君子さんには 認知症の症状が
現れ始めていました。
夜になると 急に起きだして
大きな声を出したり→
ベッドの上で立ち上がったり
目が離せなくなっていました。
息子夫婦の介護の負担は
日に日に増していました。
それでも 最期まで わが家でという
君子さんの思いに応えたいと→
ふんばり続けていました。
あの~ 夜だけがね 心配なんですよね。
昼間は 見てるからいいんですけど
夜 寝てから→
2時間置きには
ちゃんと見てるんですけど→
それ以外 ちょうど その間ぐらいの時に
起きだしたりなんかするんですね。
もう 主人なんか やり過ぎると思うくらい
よく面倒見るからね→
多分 疲れ果てると思うんですよね。
目の見えない広美さんはこれまでしたことのない→
あることに挑戦しようとしていました。
父 千加三さんのための料理作り。
近くに暮らす叔母に教えてもらいます。
あと これね 夜 あの~ タラ。
タラのおみそ煮。
あ~。ねっ。
おかずは 全然
何もやったことがなかったんです。
食べる専門で。
だから お父さんを 安心させるためにも→
広美ちゃん 何でもできる。
だから 一緒に作っても→
広美ちゃん 私が作ったんだから
味 見てちょうだいって→
お父さんに出しなさいって言うのね。
そうすると おいしかったよって。
結構 食べてくれるんです。
それ うれしいよね。
はい。
これまで 料理は 全て千加三さんが作ってくれていました。
火を扱うことも
ほとんど ありませんでした。
これで お父さんも 食べられるんだね。
いい? 手でいいのよ。 手でいいのよ。
一つずつ入れてちょうだい。
はねるからね 一つずつ。
離しちゃって。 もうちょっと下
もうちょっと下 もうちょっと下。
さ~っと置いていいよ。 さ~っと置いて。
そう そう。 うん はい はい。
この日 広美さんから
心配事があると 連絡が入りました。
様子見に行った方が 安心ですかね?
うん。
うん 分かりました。
千加三さんの床擦れが ひどいというのです。
時々 背中もかゆくなって
「かいてくれる?」って頼まれて かく時も。
あなたが 親切にかき過ぎたんだよ。
薬塗っときゃ すぐ治るよ。
今 薬つけてさ ガーゼ貼って…。
目で確認できない 広美さんの勘違いで→
幸い 床擦れではありませんでした。
広美が かき過ぎたの。
あっと思ったら かゆくなるんだ。
そうだね。
確かにね じょくそうの出来る場所じゃ
ないんだよね 床擦れの。
横なんだよね。 かきやすいとこなの。
だから もう 広美も→
あんまり かかないで。
はい 分かりました。
かゆいって言ったら 我慢しろって。
はい。
柿が まだ…。
上の方は 高くて採れないんだよ。
いや 高い。 上の方だけ残ってる。
はしご 私はね 高所恐怖症だからね登れないんだ。
ああ そうね。 いつかね。