あはは。 では聞きますが→
お父さんが自分の子どもを守るなんて
当たり前じゃないですか。
そんな珍しいことなんですか?
ええ。
その証拠に ほら。
メスが子育てに大忙しの間も→
ほとんどのオスは こんなふうに
だらだらと過ごしています。
ゲッ なんだか耳が痛い。
多くの子孫を残そうとするため→
特定のメスを助けることはないと
考えられてきたんです。なるほど。
全く違う行動に出る姿を
初めて映像に捉えました。
当時 コムギは まだ若く
力も十分ではありませんでしたが→
自分の子どもの周りに
ニオイをつけて回ったり→
今回 シャームも コムギと同じように→
コムギはまだ若くて 力の弱いオスでしたが→
シャームは実力のある立派なオスです。
シャームが わが子を懸命に守る姿が確認されたことで→
こうした行動は コムギという
ある1匹の特別な行動ではなく→
普遍的なものである可能性も
高まってきたというんです。
何より 母と姉を失い
共同保育ができないコガネにとって→
子どもを守ってくれるシャームは
大切な存在に違いありません。
なるほどねぇ。
さらに観察を続けていくと シャームの徹底的な子煩悩ぶりが見えてきました。
このあと
第2章で詳しくご紹介します。
うん! コガネにとって
シャームは まさに白馬の王子。
ネコをかぶらないでください。
すいませ~ん!
♪♪~
たくさんのネコたちがの~んびりと暮らす 相島。
ネコたちが おおらかなのは→
島の人たちが 大抵のことは気にせず→
ほうっておいてくれるおかげです。
ふだんはネコの暮らしに干渉しませんが→
困っている時には そっと助けてくれます。
古くからこうして 人とネコが→
仲良く
共存してきたんです。
大勢の観光客が
やって来るようになりました。
島のネコたちに
皆さん 癒やされてますね~。
でも ちょっと気になるのが…→
ネコの落とし物の フン。
島の人 手作りの
ネコの共同トイレです。
中は やわらかくて心地のいい砂。
すると 来るわ来るわ。
辺りに砂地が少ないため→
ネコたちお気に入りのスポットになったんです。
おかげで 周辺の落とし物が
ずいぶん減ったそうですよ。
これだけじゃあ ありません。
観光客にも お掃除してもらっちゃおう!
すると 喜んで協力してくれる人たちも。
ネコも興味津々。
海外からの留学生は…。
小さな島で始まっている人とネコの すてきな関係です。
2018年6月。
コガネたちは 手狭になった物置を出て外で暮らし始めました。
順調に育っています。
一方 コガネは落ち着かない様子。
子どもたちを連れて 塀の外に
引っ越ししようとしているんです。
娘のフウ。 お母さんに続いて…→
あらら!
慌てて戻るコガネ。
「よ~く見てるのよ。こうやって跳ぶの。 いい?」。
お手本を示します。
跳べるかな?
やりました! 大成功!
えい!一生懸命ついていくフウ。
小さいのに しっかり者ですねぇ。
港に程近い空き地にやって来ました。
コガネは
ここを新たな根城にするようです。
外の世界には オスネコ以外にも
子ネコを狙う敵がいます。
中でも恐ろしいのがトビ。
開けた場所では 子ネコが襲われてしまうこともあるんです。
コガネがフウから離れます。
ライを迎えに行くようです。
ケースに隠れて じっと待ちます。
(鳴き声)「お母さん助けてよ~」。
怖がっていて
なかなかうまく運べません。
もう一度。 もはや力ずくです。
(ライの鳴き声)
何とか出られました。