托卵どころではありません。
たとえ托卵されても
まだ策があります。
こちら 卵を
つついています。
カッコウの卵を
見破ったんです。
ついに殻を破った
ヌマヨシキリ。
なんと カッコウの卵を
食べてしまいました!
種類によって違いますが 托卵を
半分以上 見破ることもあります。
いったい どうやって
カッコウの卵を見破ったんでしょうか。
卵の表面に 秘密のサインを
隠していることが分かってきました。
研究で使ったのは いろいろな巣から
集めた オオヨシキリの卵 80個ほど。
斑点の大きさや位置などを
コンピューターで数値化 比較しました。
するとメスの卵には 個体ごとに 特有の
パターンがあることが分かりました。
共通の特徴があるといいます。
すると カッコウが同じような模様の卵を産んでも→
見破ることができるというわけです。
だまそうとするカッコウとだまされまいとするヨシキリ。
何万年も前から続く駆け引きです。
その結果 コンピューターの画像解析でしか見抜けないほど→
高度な技が進化してきたんです。
一方 そんな鳥たちのせめぎ合いから→
思いもよらない関係が
生まれることもあります。
ここは スペイン北部。
托卵をするのは こちら。
その名のとおり 翼のまだら模様と
頭の上のカンムリが特徴です。
托卵の相手は
意外にもカラス。
マダラカンムリカッコウより
一回り大きく 知能も高い鳥です。
こんな相手に
うまくいくんでしょうか?
カラスが巣を留守にした隙に…→
すかさず卵を産み落とします。
そのあと
驚きの展開が待っていました。
巣では 3羽のヒナが
生まれています。
おなかが白っぽいのが
カッコウのヒナです。
ヒナを襲ったりはしません。
カッコウとカラスは 同じ巣の中で仲良く成長するんです。
ちょっと待った!
おや 今度はどうしました?
いや「仲良く」だなんて
言ってますけど→
カラスのヒナの食べ物は
減っちゃうじゃないですか。
カラスにとって カッコウは
やっぱり邪魔者でしょ?
いいえ それが全く逆なんです。
最近の研究からカッコウがいたほうが→
カラスのヒナの食べ物が増える場合が
あることが分かってきたんです。
増える?
そんなことってあるんですか?
はい。 カッコウのヒナの「鳴き声」に
秘密があるんです。
ちょっと聞いてみてください。
どれどれ。
(鳴き声)
ほら カラスよりも激しく鳴いているでしょ。
さらに たとえ食べ物をもらっても
鳴きやまずに ねだり続けます。
カッコウがいると
親鳥の能力が最大限に引き出され→
カラスのヒナも 早く成長することが
あるんです。へえ~ そうなんだ。
それにね ヒゲじい
他にもいいことがあるんですよ。
カッコウがいると 天敵に
襲われにくくなることもあるんです。
え 天敵ですか?
はい。
カラスの巣は ジャコウネコやタカなど
多くの敵に狙われます。
ところが
カッコウのヒナのフンからは→
だから天敵たちは
巣に近寄らなくなるというわけです。
カラスは カッコウの卵を ほとんど
取り除かないと考えられています。
スペイン北部では
カラスの巣の なんと6割以上が→
カッコウに托卵されていたそうです。
へえ~。
カッコウは
ヒナを育ててもらえます。
一方 カラスは ヒナの成長がよくなり