何かが見える。
陸地だ。
川は ここで突然 地下へと潜る。
奥が まるで見えない。
普通の洞窟であれば→
ライトの照らせる範囲に
左右の壁が見える。
だが ここは闇が深い。
どこに何があるのか分からない。
洞窟の全貌を把握するため→
私たちは 今回世界最先端の技術を持ち込んだ。
3Dレーザー測量機。
この回転部分からレーザーを360度照射する。
その跳ね返りを計算することで
内部の様子を再現する。
見通しがきかない場所は
可動式の計測器でカバーする。
2つの測量機のデータを使えば
龍の巣の空間を 数ミリ単位で再現し→
細かな凹凸まで
描き出すことができるはずだ。
ヘッドライトの光は
足元くらいしか届かない。
ごつごつとした岩が 無数に転がっている。
壁伝いに とにかく奥に向かって進んでいくしかない。
突然 不思議な光景が広がった。
方解石。
1mmほどの結晶に ライトの光が
反射して きらめいている。
石灰分を含む水が流れ込み
徐々に結晶化したものだ。
♪♪~
見上げる限り 上へ上へと続いている。
更に先に進むと 突然 崖が現れた。
大丈夫!?派手に…。
気温は20度。
しかし 80%を超える高い湿度が体力を奪っていく。
はぁ…。
30分ほど登り詰めたところで少し平らな場所に出た。
うわぁというのは…
一体 自分はどんな場所に立っているのか。
まるで想像がつかない。
♪♪~
鮮烈な光を使えば
この場を把握することができるか。
後藤は 自分たちのたどってきた方向に
ストロボをたいた。
異様な様が浮かび上がった。
天井は はるか上。 巨大な空間だ。
船で上陸したのは この辺り。
70m近い高さまで登ってきた。
今度は下り坂だ。
2 4 6 8…
ここは崩落の危険がある。
急いで抜けようとプタジが先行して進んだやさき。
(落石の音)
プタジ?
(落石の音)
無事だったが ここには長くとどまらない方がいい。
岩の下には水。
気を抜くと滑り落ちる。
どうやら 迷い込んだようだ。
巨岩の迷宮から抜け出せないまま 2時間。
進むべき道も 戻るべき道も見失った。
プタジの直感が 私たちを救った。
あっ 広いとこに出ました。 抜けました。
あ~ 本当だ 広い。
いきなり広い。
すごい。
調査を始めて 4時間がたっていた。
あ! ああ~。
何かを見つけた。
この方向です。 ちょうど正面です。
一体 これは何だ。
うわっ でか!
プタジが 測量計で高さを測る。
手持ちの照明機材を全て使い照らしてみた。
それは 石筍と呼ばれる
岩の柱だった。
これほど巨大なものは
世界にも ほとんど報告がない。
石筍は 天井から滴り落ちる水に
含まれた石灰分が→
積み重なることで出来る。
その速さは1年で0.1mm程度といわれている。
この高さになるまでには 37万年かかる。
一体 石筍をつくる水は→
どれほどの高さから
滴り落ちてくるのだろうか。
風船に つり糸をくくりつけて
天井の高さを確かめることにした。
いきます!
おっ いった!
40m。
50m。
60。
いけいけ いけいけ。
100。
いった。 まだまだ。
向こうじゃないかな。