♪♪~(テーマ曲)
♪♪~
(キヨシ)大将からの手紙です。→
大将は 戦場で重傷を負われ→
死を覚悟してこれを書いたんです。
(マサ)<達彦は 中国大陸の
激戦地で 死んだらしいという→
消息が 一通の遺書とともに
キヨシから伝えられました>
♪♪~
<死の覚悟が書かれた桜子宛ての その手紙を読んで→
心労のあまり 倒れた かねは
重い病に侵されていました。→
桜子は かねを みとる決意で
「山長」に住み込みました。→
帳場に立てなくなった
かねに代わって→
女将を代行するかたわら
看病を続けたのです。→
そして 2か月が たち
年の暮れとなりました>
≪(笑い声)
♪♪~(三味線)
≪(騒ぐ声)
(ため息)
♪♪~(三味線)
(桜子)すみません。 もう そろそろしまいにしてもらえませんか?
♪♪~(三味線)
すいません!今日のところは お帰り下さい!
店のお金を 無駄な事に使わんよう
お願いします。
みんな
切り詰めて やっとるだで→
店員さんらにも
申し訳が立たんわ。
(利雄)たまに気晴らしするぐらい
大目に見ておくれんよ!
忘年会ですよ! 忘年会。
(タネ)そうだよ 桜子さん。
私ら あんたのおかげで 帳場から
外されて 楽させてもらって→
まあ 暇で暇で 困っとるんだがね。
(利雄)う~ん。
それについては
私も 申し訳ないと思っとります。
≪私の方から 女将さんに
とりなしてみますで。
≪(タネ)
姉さんは 頭が固いもんね。→
自分が 色気がなくて
モテた事がないからって→
見苦しいったら!
(タネと利雄の笑い声)
♪♪~
(かね)芸者遊びは 禁止します。
芸者さんを呼ぶ事も
お茶屋に行く事も 厳禁。
今後
こんな事が 一度でも あったら→
即刻 出てってもらいますよ。
♪♪~
困ったもんだね あの子達にも!
私が 帳場に おるのがお気に障るんでしょう。
身内を差し置いてって
思われるのは 分かります。
身内だからって 何をしても
許されるってもんじゃないわね。
言いたい放題じゃんか!
色気がないとかモテんとか 全く!
ほうですね。
ほいでもね… 死ぬ前に 一遍ドレスっていうものが 着てみたいわ。
えっ?
タネは 洋服が 似合ってね。
若い頃 よく まあ
ちょっと 見栄えのする男と→
派手な洋装で
逢い引きに行っとったんだよ。
私は それが 羨ましかった。
私はっていえば 女将になってからず~っと 仕事一筋だったもんね。
おまけに 隣を見りゃ
塗り壁が 着物を着たような→
あの お父さんだったでしょう。
フフッ。
私だって 一遍でいいから→
舞踏会に行くようなヒラヒラした洋服を着てみたかった。
人には 絶対にかなわない
望みってもんが あるんだねえ…。
♪♪~
(磯)あった あった!かねに ぴったりの生地が。
ちょいと派手だけど
まあ いいでしょ。
ありがとう 叔母さん!
近頃はね スフみたいな→
薄っぺらな生地が
出回っとるでしょう。
こんな いい生地で
ドレス作るの 久しぶりだわ!
じゃあ 早速
寸法をとりに行きましょ!
あっ ちょっと待って 叔母さん!