行ってらっしゃい!
♪♪~(テーマ曲)
♪♪~
(和之)岡崎に帰るって聞いて
飛んできたんだ!
東京に残ってほしい。
(磯)はっ?
俺 この秋には 徴兵される。
だから 時間がない!
今のうちに 母さんに
孝行がしたいんだ。
母さんって…。
母さん。 俺の母さんなんだろ!?
あのあと 父さんを問い詰めて
白状させたんだよ。
事情は 全部 聞いたよ。
だから もう 嘘つかないでくれ!
俺 自分の気持ちを 正直に話した。
そしたら 父さんも 母さんも…。
育ての方の 母さんも
分かってくれた。
麹町の家には 小さい離れがあって
そこで 洋裁の仕事もできる。
短い間でいいから
近くで暮らそう。
今まで ずっと離れて暮らしてきた
埋め合わせが したいんだよ。
「うん」って言ってくれよ 母さん!
和之…。
ありがとう。
私は 今 日本で一番幸せな女だわ。
じゃ いいんだね?
駄目!
このまま 別れまい。
私 ずっと 諦めとったのよ。
私は あんたにとって→
ただの 行きずりのおばさんでおろうって…。
それなのに こうして 今
お母さんって 呼んでもらえた。
あんたのお母さんになれた。
それだけで 十分だで。
でも 今日から また
おばさんに戻るでね。
おせっかいな 磯おばさんだ。
母さん…。
母さんじゃないって。
あんたの 本当の お父さんとお母さんを大事にしてね。 うん?
その2人のために→
自分の命を大事にして生きていかんと。
私は あんたが
元気で生きとってくれるだけで→
もう 十分だでね。
母さん!
母さんでないよ~。
(泣き声)
(磯)母さんでないよ…。
(泣き声)
♪♪~
(幸)おねえちゃん!
どこ行ってたの?
(杏子)うん?おうちの人に会ってたんだよ。
でも もう どこにも行かんから
心配しんでいいよ。
私 東京に残る事にしました。
ねえ さっちゃん。「さち」って どんな字?
「幸せ」っていう字。
ほっか。 いい名前だね。
ねえ さっちゃん。
おねえちゃんと 幸せになろう。
♪♪~
(汽笛)
(笛子)ただいま!
(徳治郎)おう よう帰ってきた!無事だったか? よかったなあ!
加寿子か? 加寿子と亨か?
ほら 加寿子 亨 ご挨拶しなさい。
(亨)わ。
(加寿子)こんにちは。
はい こんにちは。
(亨)わ。
あんたも 大変だったなあ。
(冬吾)恐れ入ります。
(八州治)すいません…。
重いんですけど…。どこ 置きます?
冬吾の絵が 一番重いんだ これ。
何だん? この男は。
居候です。
うん? お前 どっかで見たなあ。→
こんな妙な男
家に置いて 大丈夫かん?
(桜子)大丈夫だよ おじいちゃん。
八州治さんは いい人だもん。
この家に 婿に来たつもりになって
頑張ります!
調子に乗るんじゃないわ!
ちょっと 調子に乗りました。
(笑い声)
これからは 思う存分ここで 絵を描いて下さい。
思う存分か…。
うん?
いや 何でもねえ。