コーヒーは 手に入らないしさ…。
音楽は 好きに かけられないし…。
そろそろ 潮時かなあ…。これから どうするの?
う~ん
また 店やれる日が来るまで→
なんとかやってくよ!
そう…。
桜子ちゃん
好きなレコード 持ってってくれる?
いい。
私 このお店で レコード聴くのが楽しみだったんだ。
ヒロさんのコーヒーと
ここで聴く音楽に→
随分 元気づけられた。
そう言ってくれるのはうれしいなあ…。
ねえ ヒロさん。
子ども達が 喜びそうな元気の出るお話 ないかなあ?
う~ん お話か~…。
♪♪~
出来た!
ヘヘヘ! ああ うめえもんだな~!
なあ 「北風と太陽」って
どんな話だっけ?
北風と太陽が
力比べをするんだよ。
旅人の外套を 先に
脱がせられるのは どっちだって。
北風が ビュ~ビュ~ 吹きつけて…。
ああ! 思い出した。 それ!
「お前の外套なんか
脱がしちまうぞ。 ビュ~!」→
なんてな。 ハハハハ!
ビュ~って。 ハハハ!
(加寿子)あっ お父ちゃん!
お父ちゃんも描いて!
(亨)お父ちゃ~ん!
亨!
(亨の泣き声)
大丈夫だか!?
(泣き声)
(ピアノの音)
冬吾さん…。
少しずつ見えねぐなっていくんだな 亨は。
亨ちゃんは 見えとるよ
冬吾さん。
まだ 見えとる。
私の絵を見て 笑った。
冬吾さんの絵で…
お父さんの絵で→
亨ちゃんを笑わせてやれんかな?
♪♪~
ビュ~! ビュ~ン!
うう~ 寒い~!ビュ~! ビュ~ン!
アハハハ!
フフフ!
桜ちゃん。 八州治。 笛子。
俺も 絵を描いてみたはんで。
(加寿子)あっ お日様だ~!
んだ。 お日様だ。大きいねえ!
あったかいねえ!
んだ。 お日様は大きい方が あったけえんだ。
(八州治)おい。 どうしたんだよ?
桜ちゃん。 何 涙ぐんでんだ?
何でもない。
あっ! 私 いい事 思いついた!
ん?
この絵に 曲をつけたくなったわ。
音楽つきの紙芝居があったって
悪くないでしょ?
んだな。 それも悪ぐねえな。
♪♪~
(3人)
こんにちは~!いらっしゃい。 奥の部屋へどうぞ。
太陽に どちらが 旅人の外套を
脱がせる事ができるか→
力比べをしようと
言いだしました。
(冬吾)「俺は北風だ~!→
お前の外套を 一吹きで吹き飛ばしてやる。 フ~フ~!」。
「う~ あらららら! 寒い!
寒い~…」。
♪♪~(ピアノ)
そう言うと 旅人は外套を引き寄せました。
「よいしょ!」。
「次は 俺の番だ。 暖めてやるべ」。
♪♪~(ピアノ)
(八州治)「あれ~!? 何だかだんだん暖かくなってきたぞ~。→
いや 暑いぐれえだ。 うひゃ~!」。
そう言うと 旅人は外套を 脱いでしまいました。
「力ずくで 脱がせようとした
俺が 間違ってました」。
北風は 反省し 二度と
自分の力自慢をしなくなりました。
おしまい!
(拍手と笑い声)
冬吾さん。 今日は ありがとうね。
何も…。
俺の方こそ ありがとうだ。
冬吾さん 前に→
「自分の絵は 役に立たん」って