(武田信玄)出陣じゃ!
(一同)はは~っ!
(足利義昭)信長の命運は尽きた!
(明智十兵衛光秀)
いま一度 お考え直しを…!
わしは 信玄と共に戦う!
公方様…!
御免!
(三淵藤英)十兵衛殿!追うな!
元亀4年3月 将軍 足利義昭は→
織田信長に対し 討伐の兵を挙げた。
義昭の意をくんだ 甲斐の武田信玄は→
三方ヶ原で 徳川 織田連合軍を打ち破り三河に侵攻していた。
しかし…。
武田軍は 突如 兵を引き返した。
(町衆)
信玄様は 京へは上られなかったのか。
今度こそ 織田と決戦じゃと
思うたが…。うん…。
(いななき)
♪♪~
義昭は 宇治 槙島城に陣を構えた。
朝倉 浅井 そして 信玄。
なぜじゃ? なぜ姿を見せぬ?
皆 わしを助け信長を討つと書いておるではないか!
(喚声と悲鳴)
♪♪~
(木下藤吉郎)足利義昭公!
織田信長様のご下命により木下藤吉郎が召し捕らえる。
うおお~っ!
引っ立てい!
(一同)はっ!
(藤吉郎)公方様をお召し連れ申した!
ご覧あれ 明智殿。
皆が 武家の棟梁とあがめ奉った将軍様がこのざまじゃ。
これからは 我らの世でござる。
我らの。
♪♪~
(武士)参られい。
♪♪~
♪♪~
義昭と共に戦った三淵藤英も投降した。
三淵の弟 細川藤孝は信長についたのである。
(細川藤孝)兄上 面を上げられよ。
(三淵)義昭様は…?
義昭様は宇治の南
枇杷庄へ座を移されました。
信長様も 将軍のお命までは取らぬ と。
(三淵)さようか…。
(藤孝)ともあれ
兄上もご無事で ようございました。
無事?
わしが無事で何がよいのじゃ!
藤孝 お主 義昭様や幕府の内情を
ひそかに信長に漏らしておったな。
いつから裏切り者になり果てた!?
三淵様!
私は気が付いただけです。
政を行うには時の流れを見ることが肝要だと。
時の流れ?
この世には大きな時の流れがある。
それを見誤れば 政はよどみ 滞り 腐る…。
それが公方様を見捨てた言い訳か。
(藤孝)信長様からのご沙汰をお伝え申す。
(藤孝)岩成友通が籠城しておる淀城を私と兄上 2人で落とせとのこと。→
よき機会を与えられました。
この上は 兄弟 力を合わせ…。
(藤孝)淀城攻めの手はずは また後日。→
私は これにて。
♪♪~
十兵衛殿 わしは負け そなたは勝った。→
わしは 二条城で死んでもよいと思うた。→
説得に応じたのは ただ一つ。
義昭様のお命を
助けていただけるかどうか。
私と三淵様の間に
勝ちも負けもございませぬ。
あるのは 紙一重の立場の違い。
私は今 そう思うております。
この上は この十兵衛光秀に
お力をお貸し下さいませ。
何とぞ。
(セミの声)
(菊丸)織田が朝倉 浅井を討たねば→
盟約を結んでいる三河はゆくゆく危うい。→
織田が出ていけぬのは
背後に武田がいるからじゃ。
よいか。 明智十兵衛様にお渡しせよ。
(町衆姿の男)はっ。
抜かるな。 わしは仕事がある。
大事ないか。 ほら…。
(町衆姿の男)
あっ これはこれは とんだご無礼を。
(小声で)明智様 これを。→
さあ 大丈夫か?
♪♪~
ごめんください。
(望月東庵)ん? あ… どなたかな?
東庵先生! お久しゅうございます。
あの薬屋の!