発行してもらわなあかんねん」。
「お~い お前ら
そこ1列に並べ 1列に。→
言うとくで! ここ来る前
先 皆 検温せえ 検温をな。→
で 1.8メーターずつ
おい 空けとけ 空けとけ。→
空けとけよ! 分かったな?
いや もう性別とか関係ない。 1列に」。
「えっ? 昔 男はこっち 女はこっちとか
分けてたんと違うんですか?」。
「アホか お前! 大体 こんなもんな→
マイナンバー発行すんのに何で性別いんねんな。→
そんなもん LGBTとか
いろいろあんねんで。→
あのな 今… 今度の閻魔大王はな
人権意識が高いねんな。→
もう そんなんな 性別とか
そんなん ごちゃごちゃ→
しょうもないことを言えへんねん。
みんな平等に拷問を…」。
「いや それ ええことですか?
それ ええことですかいな。→
へえ~ あれ あのパソコン
何してまんねんな」。
「さあさあ あれは死人出入り帳ちゅうな→
昔は帳面やったものをデータベースにしてあんねんな」。
「死人出入り帳?」。
「そうやがな。→
『鬼籍に入る』てなこと言うやろ。
鬼の戸籍やな。→
死んだ者は みんな 鬼の戸籍。→
この鬼籍… 死人出入り帳に名前が載んねやないかいな。→
せやけどな
あの鬼籍に名前が載ってない者→
データベースに名前のない者は→
『お前は まだ死ぬ運命にない。まだ生き返れるさかい→
早いこと戻れ戻れ』言うて
生き返ることができんねん」。
「えっ? ほな あの鬼籍ちゅう鬼の戸籍
鬼籍に入ってへんかったら→
生き返れまんのん?」。
「そう。 奇跡(鬼籍)的に助かるなあ」。
「すんまへん。 もう ここ オチですか?」。
「何を言うてんねん。→
始まったとこやないかい。
まだまだや」。
言うておりますうちに 皆が ある程度
人数そろったと見えまして→
緑とピンクの鬼が出てまいりまして
大きな鉄の扉を左右に→
ギャギャギャギャ…。
「うわ~ えらい賑やかなとこ出てきましたなあ」。
「うん。 ここが賽の河原町や」。
「賽の河原町?」。
「そうや。 四条河原町に
町並みが似たあるなあ。→
昔はな 六道の辻とかいうとこが
繁華なとこやったんやけども→
三途の川 渡す前の方が
皆 銭持ってるっちゅうんでな→
渡る前の方がええやろっちゅうんで
ここに 皆 店を出したらな→
そこが栄えてしもたんやな」。
「はあ~ さよか。→
ここ 芝居小屋がおまっせ」。
「そうやがな。→
河原町と一緒でな 南座に代わるような
芝居小屋があるなあ。 冥土座いうねん」。
「ほう~ 冥土座ですか。
ここ やっぱり歌舞伎やってまんのん?」。
「そうやがな。 こっち すごいで。→
初代から十二代目までの團十郎がそろてんねん」。
「ほう~ 初代から十二代目までの團十郎が
そろてまんのん?」。
「そうやで。 ここの芝居すごいで。→
主役が團十郎やろ? 敵役が團十郎やろ?脇役が團十郎やろ?→
売店の売り子が團十郎や」。
「ちょっと待っとくんなはれ。→
売店の売り子 團十郎
いらんのと違いまっか?→
ほな やっぱり
『仮名手本忠臣蔵』か何か?」。
「何を言うてんねん。
そんなん もう飽きてんねん。→
今 『半沢直樹』やってんねん」。
「えっ!? 『半沢直樹』?」。
「そうやがな。 歌舞伎役者がそろたら
やっぱ やりたいのは→
『半沢直樹』やいうてな
今 『半沢直樹』がはやってんねん。→
ちょっとな こっち用にな
ストーリーを変えてんねんな。→
葬儀屋を舞台にした
マネーゲームになってんねん」。
「へえ~ 葬儀屋を舞台にした
マネーゲーム?」。
「うん そや。
流行語が ものっすごい生まれたな」。
「『倍返し』ですか?」。