立派な認知症と思った」。
「昨日 池袋駅で
JR山手線の乗場が分らず→
人にきいたりした」。
「僕の認知症 少しづつ進行している」。
確かさ。 確かさっていう生活の観念が…
はい 行ってらっしゃい。 気を付けて。
(まり)ポケットに入ってた?
日々 失われていく確かさ。
長谷川さんは それにあらがうように
できるだけ外出し→
これまでと同じ日常を
送ろうとしていました。
毎日のように訪れる お気に入りの喫茶店。
認知症医療の第一人者だった長谷川さんを支えてきたのが 妻 瑞子さんです。
夫の薬を
朝 昼 晩と分けるのが日課になりました。
(取材者)えっ 何で ダメなんですか?
飲んだ気になっちゃうみたい。
あっ 帰ってきた。 は~い。
症状が進行していく中 瑞子さんの負担は日に日に大きくなっていました。
持病の腰痛が原因で
自らも要介護認定を受けている瑞子さん。
靴下 脱ぐ。
夜 眠れないことが増えた長谷川さんに深夜まで付き添うようになりました。
いい いい いい いい。
うん いい いい。いい?
大丈夫。
大丈夫?
おやすみなさい。
はい。
2人が結婚したのは 60年前。
3人の子どもに恵まれました。
仕事一筋で生きてきた夫。
家事や育児は瑞子さんが一人で担ってきました。
そして 今
認知症になった夫を支える日々。
それは ようやく訪れた
夫婦2人だけの時間でもありました。
♪♪~
「僕の体や精神 心のすべてに瑞子がいてくれる。→
この感覚は 始めてだ。→
なんというのだろう。いつも瑞子と共にいる感じだ。→
幸せだと思う」。
♪♪~(ピアノ)
それで…
はい チーズ。
今 長谷川さんの講演活動や
研究を支えているのが→
娘の まりさんです。
この日 新たに出版する本の打ち合わせに臨んでいました。
多くの医療機関で使われるようになった
認知症の簡易検査「長谷川式スケール」。
正しい使い方を伝えたいという
父親の希望をかなえるためです。
その途中のことでした。
長谷川さんは 打ち合わせとは関係のない話を次々と始めます。
僕は やっぱり
2つ 特別な体験をしてると思うんだよね。
一つは キリスト教の信仰に
ぶつかったっていうことが→
一つ あると思うんだ。 これは…。
娘のまりさんは 話を戻そうとつい 口を挟んでしまいます。
先生に いろいろ 今日
お願いしたいと思って…。
明日 やれることがあったら
もう 今日 手をつける。
だから… そうそうそう。
あ~ ごめん…。
分かりました。 どうぞ どうぞ。
東條英機が… 軍閥が日本をしっかり握ってた時には…。
認知症の父と どう向き合えばいいのか
不安が募っていました。
この日は 主治医との面談でした。
僕の感じではね 確かさっていうのがあやふやになってきた。
確かさ。
具体的に言うと 例えば…
じゃあ そちらで。
じゃあ さっきの待合室…。
まりさんは 悩みを打ち明け始めました。
すいません 今日…。いえいえ。ありがとうございます。
ちょっと伺いたいことが…。
そうですか…。
認知症医療の第一人者である父親が
認知症になった。
その現実を まりさんは
受け入れることができずにいました。
取材を始めて半年。
長谷川さんの症状は少しずつ進行していました。
このころ 口数が少なくなっていました。
日記には 複雑な心の内が英語でつづられていました。。
「Where are you? Where am I?
Where is Mizuko?」。
おはようございます。
長谷川さんは日帰りで さまざまな介護を受けられる→
デイサービスに
通うようになっていました。
妻 瑞子さんの負担を減らすためでした。
(一同)あっぷっぷ。
実は 長谷川さんは およそ40年前→