認知症のデイサービスを提唱し実践した一人です。
家族の負担を減らし
認知症の人の精神機能を活発化させる。
利用者が一緒に楽しめる場所の
重要性を訴え続けてきました。
よ~い スタート!
あっ 長谷川さん… 長谷川さん!
投げて下さい 投げて下さい
投げて… 投げて 投げて。
よいしょ! 5 4 3…。
利用者全員で行うゲームに参加することになった長谷川さん。
しかし この日 笑顔はありませんでした。
かつて 自ら提唱したデイサービス。
そこで感じた 孤独。
もちろん そうかもしれないけど…。
♪♪~
(取材者)そうなんですか?うん。
死のうかと思ったんだって。
(取材者)えっ?
死にたくなっちゃったんだって。
(取材者)それで どうしたんですか?
だからさ…
(ため息)
このころ 認知症の人が陥りやすい
気分の落ち込みを経験していました。
(瑞子)眠そうね。
(まり)大丈夫かな…。これだもん。
この日 町内会で講演を控えていた
長谷川さん。
まりさんは うまく話ができるか
心配していました。
えっ?
変なこと。
変なことなんて 俺 どこでも
いつでも言ったことないよ。
軍歌?
町内会の会議が終わったあと長谷川さんの出番がやって来ました。
(拍手)
え~っ。(拍手)
(まり)ちょっと待って! ちょっと…。
先に お話 して。いい 大丈夫。
紙 配ってないの。
じゃあ ちょっと配ります。
すみません。
いや~ね。
♪♪~(「ふるさと」)
講演の最後に予定していた歌を突然 最初に歌い始めたのです。
♪♪~(「ふるさと」)
そうか。
何で 初めに歌うの?
(まり)何で初めなの?
(まり)そうね。
(まり)ふ~ん。
まりさんは
父親の思いを受け止め始めていました。
♪♪~(「ふるさと」)
父親の心にどう寄り添っていけばいいのか。
(取材者)結構 ばんそうこうが…。
まりさんは けがで家に引きこもりがちにならないよう→
長谷川さんを
外に連れ出すようになりました。
まりさんには 気付いたことがありました。
分からない。えっ 分かんないの?
うれしい。 やった。
(笑い声)
昔から 家族を楽しませることが
大好きだった父親。
その人柄は
今も決して変わらないということでした。
(取材者)お邪魔します。
取材を始めて1年。
(取材者)あっ 寝てて大丈夫ですよ 先生。
長谷川先生。 フフフフッ。本当に寝ちゃうの。
ちょっと。
ねえ。 死んじゃったの?
体調のすぐれない日が増えていました。
今後に備え 長谷川さんは→
有料老人ホームの利用を
考え始めていました。
2泊3日の体験宿泊です。
♪♪~
(取材者)我慢になりますか? やっぱり。
うん。
「帰りたい」と漏らす長谷川さん。
ある思いを 何度も口にしました。
帰宅して 真っ先に向かったのは
論文を書き続けてきた書斎でした。
長谷川さんには かつて先輩医師に
言われた ひと言がありました。
♪♪~
♪♪~
じゃあ ご苦労さん。
こっち 「ありがとう」って言わなきゃダメでしょう。
こっちの人に
「ありがとう」って言わなきゃ。
ありがとう。
ありがとう。ハハハハハッ。
あったかそうでしょう?
うん ありがとう ありがとう。
高かったでしょう? あったかそうだ。