♪♪~(テーマ曲)
♪♪~
(マサ)<昭和21年の春桜子と達彦は→
家族と店の人々に 祝福されて
結婚式を挙げました。→
戦争という苦難を
乗り越えてきた2人の→
互いへの思いが
結実した瞬間でした>
(拍手)
♪♪~
<それから 1年3か月がたった
昭和22年の夏>
(達彦)ありがとうございました。
(桜子)ありがとうございました。
<「山長」の女将となった桜子は
達彦と共に→
慌ただしい中にも
幸せな毎日を送っていました>
おふみさん。
仙吉さん 呼んできてもらえる?
(おふみ)はい。
<国から支給された原料で味噌や醤油を造って県に納める→
統制経済は まだ 続いており→
経営難を乗り切るための方策に「山長」では四苦八苦していました>
たまり醤油を使って 何か
新しいものが できないかしら?
(仙吉)何かっちゅうと 例えば?
漬物とか 佃煮とか…。
漬物なら 時々 味噌を卸している
漬物屋さんに→
やり方を教えてもらって→
近くの農家から野菜を仕入れれば…。
なんとかなるかもしれんな。
やらまいか?はい!
<そんな ある日 東京から
懐かしい友が 訪ねてきました>
(達彦)いらっしゃいませ。
あっ… 薫子! 久しぶり。(薫子)久しぶり。
ご結婚 おめでとうございます。
ありがとう。
ほうか。 結婚してから
初めて会うんだね。
ごめんね。
仕事が忙しくて なかなか東京を離れられなかったで。
どう? 新婚生活は。
どうって… ねえ?
新婚旅行も 行っとらんのだ。
忙しくてな。
ほう。 そんな甘いもんじゃないよ。
ウフフ ほうか~?
あっ お清に 早く お茶いれるよう
言ってこようか?
あっ 私が。
どうぞ お構いなく。
岡崎へは 何で?
やっぱり 仕事か?
ちょっと 取材に。
取材って?
実は 私の 初めて書いた小説が
文芸誌で 新人賞を取ったんだ。
へえ。
大したもんだわ。
全然 知らんかった。
(薫子)小さな賞だからね。
ほいでも そこの出版社から
「次回作を書いてみろ」って。
「出来がよければ
出版してもいい」って言われたの。
ほいで 私 兄の事を
書いてみようと思って。
ここには 兄との思い出が
一番 残っとるから。
ほうか。
お兄さん 戦死されたんだね。
兄の出征の時には 桜子にも
お世話になったね。 覚えとる?
覚えとるよ もちろん。
「きみ 死にたまふことなかれ」。
あのころから 薫子は→
「小説家になりたい」って言っとったもんね。
夢を貫いたんだね。 よかった。
♪♪~
ありがとう。
♪♪~
♪♪~(ピアノ)
あっ ごめん 仕事の途中に。
ああ いいよ。
もうちょっと 弾いてろよ。
ほいでも ピアノ触るの久しぶりだで
指が 全然 回らんわ。
ごめんな。 店が忙しくて この一年
あんまり 弾く暇なかったもんな。
「ごめん」なんて 夫婦で
水くさいよ。 何 言っとるの。
いや 俺 「音楽を忘れるな」なんて
言ったくせに→
そのために
何もしてやれてないなと思ってな。
お前も 夢 持ってたんだよな。