そこで延期にすると。
3月の中旬になって
今月の公演は中止に致します
ということになって
3月の幕が開かなくなり。≫計5か月
穴が開いたっていうことですか。
≫もしかしたら、このまま
開かないんじゃないかという。
このままだとなくなると
思いましたね。
≫何をやられてたんですか?
≫僕は3月のお芝居が
中止になって
ひと月くらいは
正直、何もしなかったですね。
≫家から出ることもなく?
≫家に出る用もなく。
今日は1日
外に出てないわということに
ビックリしたり。
再開したら
何をしようかとかということは
正直考えられなかったです。
なくなると思ったので。
このままだと。
≫なくなることは
ないじゃないですか?
でも、それぐらい
追い込まれるというか
プラス思考に
なれなかったってことですか。
≫なれなかったですね。
このままだと
なくなってしまうので
何かをしなきゃと。
ただ、この状態が正常になるのを
待っていたら、待っている間になくなると思ったのでこの状態で
どうやって
歌舞伎ができるかっていうことを
考えようと思って
考え始めたわけです。
≫そして、去年6月
幸四郎さんは
歌舞伎史上初の
ある挑戦に打って出た。
≫どうするのだ?
≫オンライン会議アプリZoomで
生配信上映した
その名も図夢歌舞伎。
幸四郎さんは、事前に収録した
自分自身の映像と
画面上で共演するという
演出や構成を手掛け
市川猿之助さんや
息子の市川染五郎さんも出演。
しかし、江戸時代から続くという
伝統ある歌舞伎に
Zoomを持ち込むとは
かなり思い切った発想だが…。
≫とにかく早く
できるものといったら
Zoomというものが
僕、その時、初めて存在を知って。
≫僕も知らなかったです。
≫最終的には図夢歌舞伎というのを。
紹介とか役者自身の
素顔であったりはあるんですけどやっぱりお芝居なんですよね。
お芝居を見ていただく場で
演じるっていう。
これは役者だけではなくて
大道具から衣装さんや
小道具さんと
歌舞伎の専門職の
手が止まっちゃっているので
その手を動かす場。
そういう人たちの手を
動かしたいと
そう思った、その一心だったので。
≫役者はオンラインでトークなどもできる。
だが、大道具さんなどの
裏方さんは
仕事がストップしたまま。
何より裏方さんのために。
自問自答を繰り返して
行き着いたのが
歌舞伎を映像化し
配信で
お客さんに届けることだった。
そのオンライン上演後
幸四郎さんは…。
≫お泣きになったって。クールなイメージがあって
ちょっとビックリしたんですけど。
≫自分でもビックリしちゃって。歌舞伎座の大道具さんに
久々に会えたし。
それが仕事してるし。
いつもと同じ。
大道具、照明、小道具と。もちろん床山さん、衣装さんとも
再会して、その人が働いている。
また、この図夢歌舞伎も結構、時間との
戦いだったので