(千鳥)やるの やらないの!?(千代)やります。
千代ちゃんは
山村千鳥一座の採用試験を受けに→
京都は新京極 三楽劇場にやって来ました。
お願いと申しますのは→
ただ こうして 一度 上様と
お目通りさえ かないますれば→
それで よいのでございます。
(清子)<この子…>
(千鳥)<ひどすぎる…>
私も これまで名ある方様に お目通りの…。
♪♪「オレンジのクレヨンで
描いた太陽だけじゃ」
♪♪「まだ何か足りない気がした」
♪♪「これは夢じゃない(夢みたい)」
♪♪「傷つけば痛い(嘘じゃない)」
♪♪「どんな今日も愛したいのにな」
♪♪「笑顔をあきらめたくないよ」
♪♪「転んでも ただでは起きない」
♪♪「そう 強くなれる」
♪♪「かさぶたが消えたなら」
♪♪「聞いてくれるといいな」
♪♪「泣き笑いのエピソードを」
♪♪~
たった一つ 今 日本で一の位においであそばす上様に→
お目通りがかなわぬばかりに→
私は 生きがいのない…。
もういい~!
何なの さっきから足元ばっかり見て。
あ… すんまへん。
嫌らしい!
いやいやいやいや! そやあれしまへん!
何っ!?
裾に ちょっこと綻びが…。
繕いまひょか?
よくも座員たちの前で辱めてくれたわね。
えっ!? いやいやいや うちは ただ…。
お黙んなさい!
清子!
明日8時。
(清子)分かりました。
おめでとう 合格や。
(宮元)ほんで さんざん怒鳴られたあげく合格したんかいな?
(真理)なあん 分からん。
よっぽど うちの芝居がよかったんとちゃうやろか?
次の日の朝。
(清子)ほな 頑張りや。
えっ えっ…
うちと千鳥さんと2人きりだすか?
それが あの人のやり方や。
座長のこと任したで。
そないなこと言いはっても 芝居のこと
いろいろ教えてもらわなあかんのは→
うちの方だすさかい。
ええ心掛けや。その謙虚さ 忘れんようにな。
はい。
千代ちゃんは 清子さんに連れられて山村千鳥の家にやって来ました。
ごめんやす。
今日から よろしゅうお願い申します。
ここに あなたのすべきことが
全て書いてあります。 使いなさい。
こないなもんを うちなんかのために…
精進いたします。
で… うちは何の役を?
役?
びっくりしました。 まさか 家で
2人きりでお稽古してもらえるやなんて。
どうして
あなたと稽古しなきゃならないの。
あなたに任せる役なんて
あるはずないでしょ。
ほな うちが合格したんは…。
こまごました雑用は得意そうだったし応募してきたのが あなただけだったから。
清子から何も聞いてないの?
また だまされた…。
人聞きの悪いこと言いなさんな。
言っときますけどねあなた 相当 運がいいのよ。
あんな大根芝居
付き人だとしても受からないわ。
感謝してもらいたいくらい。
自分の無能さを棚に上げて→
私たちを嘘つき呼ばわりするなんて
1,000年早い!
辞めるのでしたら 今のうちです。
辞めしまへん。
嘘つき呼ばわりしたのは謝ります。
けど 一つだけお願い聞いてもらわれしまへんやろか。
何?
やること みんな済まして→
時間が空いた時には
お稽古してもらわれしまへんやろか。
お頼申します!
まっ いいでしょう。
ただし 私は毎日 少なくとも
8時間は寝ることにしてますから→
それ以外の時間でね。
はい!
では 早速 仕事なさい。
仕事の内容は その帳面に書いてあります。
何や これ…。